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zoom RSS 世界は腹黒い 複雑怪奇な国際政治

<<   作成日時 : 2011/11/04 00:31   >>

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世界は腹黒い。

世界の国々は、人道的な問題やセンチメンタルでお涙ちょうだいの問題以前に、自国の国益を考えて発言・行動しており、これはすべてに優先されている。

例えば、米国によるイラク戦争勃発の際、仏・露・中が米国のイラク攻撃に猛反対したのだが、これは平和主義・反戦主義の人道的考慮からではなく、すべて自国に取って損か得か、つまり国益を考慮してのことであった。

具体的に言えば、イラクの石油利権なるものはこの仏・露・中による独占状態であり、この三力国がフセイン政権を守ろうとしたのはこの石油利権を守りたかったのが理由だ。

フランスがイラク戦争に反対したのは、「フランスの国益を損うような戦争をアメリカごときに勝手に進められてたまるか」という強い国益護持精神に基くものであって、平和主義でも反戦主義でも何でもなかったということだ。

反戦主義のために他国の戦争に反対する国など、世界には一国も存在していない。これがリアル・ワールドである。

特に、日本の場合は、親中マスコミは、アフリカや中東の人権問題は積極的に報道するものの、それよりもっと酷い中国の人権問題(ウィグルやチベットの虐殺)に関しては、一切報道していない。

この隣国で、現在進行形で起きている地獄絵図のような人権問題を、世界のマスコミは報道しても、日本のマスコミは一切報道していない現実を他国の視点から鑑みると、日本は世界一無知な偽善国家・愚民国家であるとも見て取れる。

日本人が知らない、複雑怪奇な国際政治に関して、『日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略』から抜粋して、下方に貼り付けておこう。※2004年時点の論説であることに、ご留意のこと。



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    『日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略』 (P327 〜 P334)
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【米国の国際戦略】

イラク攻撃にみる米仏対立の深層

欧州はアメリカの対抗軸になろうとしている。ユーロはドル支配に対抗するために誕生した通貨だ。

欧州とはユーラシア大陸の西北に突き出した半島部分のことであるが、それは地球の地表面積の僅か三%の狭域でしかない。

そして全ヨーロッパ諸国の人口を合わせても世界人口の一割程度(四億五千万人)でしかない。従って欧州はEUに連合して団結しないと、今後の世界では米中に対抗するだけの国際覇権は得られないと判断しているのだ。

欧州で実質的リーダーの役割を荷なっているのは英独仏三力国だが、イギリスがユーロを導入せずEUに消極的なスタンスを取っているため、フランスとドイツは両国がEUのボスであろうとしている。

一方、前章で述べたように共和党の戦略は、アメリカに対抗する仏独主導のEUを台頭させないためにイギリスを盛り立てる方針であり、また同様に東アジアでは中共の台頭を妨ぐために日本を盛り立てる方針である。

この戦略は一九九二年に当時のチェイニー国防長官(現・副大統領)らによって作成された「国防計画指針」に明記されている。

これは前述のように現在の国連安保理を黙殺して、米英日三カ国が中心となってアメリカとその同盟国の力だけで世界新秩序を構築していこうという構想であり、イラク戦争を支持するか否かはそのアメリカ主導の世界新秩序に加盟するか拒むのかという選択肢を、国際社会に突きつけている意味があったのだ。

アメリカはイラク攻撃を支持した四十四力国を有志国連合(コアリション・オブ・ウィリングス)と呼んだが、実はこれこそが国連(ユナイテッド・ネーションズ)に代わる新国連の基礎となりうる存在だということである。

また二〇〇三年六月二十七日のLAタイムス紙は「有志国連合による一万人規模の常設国際平和維持部隊をブッシュ政権が検討している」と報じたが、要するに国連の下でPKOを行うのではなく、有志国連合の名において国際平和維持活動を行っていこうという構想なのだ。

つまり共和党の国連「骨抜き」戦略の一環であるのだが、フランスはこの構想が「公になった時は反対する」と声明している。

ハワード豪首相も述べたとおり、フランスは先の大戦の戦勝国として国連安保理常任理事国の席に座れたのであり、アメリカによる新国連ができれば重要ポストはおそらく得られない。核を持っているというだけでは、インドやイスラエルが常任理事国になれないように、常任理事国のポストは第二次大戦の戦勝国の既得権益なのだ。

だからフランスは国連にこだわり、「大国フランス」の地位を維持したいのである。

また一九九一年十月にカンボジア和平を協議するパリ会議で、仏デュマ外相は「日本が侵略して以来、半世紀に渡る混乱と戦火に今日やっと平和が訪れた」と、まるで植民地支配を全て忘れたかのような演説をしているが、フランスにとってはこの戦後世界秩序が最も居心地が良いのである。

何といっても「正義の戦勝国」の立場で常任安保理の席に座っていられるのだ。

従ってこの世界秩序の再編なんて、フランスにとってはとんでもない話なのだ。(なおKGB出身のプーチンは国連の無力さなんて百も承知の上で、二〇〇四年四月に「国際問題を解決する効果的な機関は国連以外にはない」と述べているが、第二次大戦の既得権益たる安保理常任理事国ポストを維持したいのはロシアや中共もフランスと全く同様なのである。)

従来よりフランスは、米国の国際覇権を嫌って「フランスこそが世界一の大国であるべき」という強いプライドを持っている。

フランス国際関係研究所副所長のD・モイジは、「米国を除けば、フランスは自国が世界のモデルであるという自覚を持っている唯一の国だ。

(フランス人は)フランスを人類全体の価値のモデルであると考えている」と述べている。事実そのプライドを守り抜くために、一九六六年にド・ゴールがNATOを脱退して以来、中東へのスタンスなども独自の外交路線を貫いてきた。

そして勿論のこと、自国を自ら護れる核武装もしている国である。

アメリカの核の傘の下で妄想平和主義にボケながら「アメリカの一極支配は帝国主義だ」などと寝言を唱えている日本とは、フランスは戦後の歩みが根本から違っているのだ。

さらに付け加えるならばフランスのメジャー石油会社はイラク全域で石油鉱区を多く持っており、フランスの軍需産業はイラクにミラージュ戦闘機などの兵器を多く売っており代金未回収がある。

フランスは世界でも屈指の武器・兵器の輸出国、つまり「死の商人」国家でもある。

フランスはかつてイラクに原子炉を売ったことさえあるのだ。(ちなみにこの原子炉は完成前にイスラエルが爆撃した。)

この兵器売却についてはロシアや中共も同様で、イラクヘの兵器輸出国の上位は一位がフランス、二位が中共、三位がロシアであった。

従ってこの三力国がイラク攻撃に反対したのは「代金が回収できなくなる」という理由もその一因で、ロシアも中共もイラクには百億ドル以上の武器代金の未回収があった。従ってフセイン体制の崩壊は内心困るわけだ。

ここで整理してみると、イラク攻撃に反対した仏露中三力国は「常任理事国ポストを守るために国連以外の世界新秩序に反対である」「フセイン政権に対して多額の兵器代金の未回収がある」という二つの共通点をもっているが、実はもう一つ、第三の共通点が存在している。

湾岸戦争以後の対イラク経済制裁の代償として、アメリカは人道的観点から「石油・食糧交換プログラム」を提唱したが(同プログラムの総額六百四十億ドルの内の百四十億ドルが、フセイン政権と国連職員の横領によって「行方不明」となっているのだが、それはさておくとして)、アメリカ企業は国内法の規制でイラクとの取引を禁止されており、同プログラムには参加していない。

国連からタカリの対象ぐらいにしか見られていない日本なんかも、勿論のこと参加させてもらっていない。このプログラムに基いてイラクと取引して儲けていたのは、仏露中三力国の企業がほとんど全てだったのである。

つまりイラクの石油利権なるものはこの三力国が独占してきたわけで、この三力国がフセイン政権を守ろうとしたのはこの石油利権を守りたかったのだ。

そして三力国の根回しにより、同プログラムの「共犯」であった国連も「国連を無視してアメリカが戦争を始めると国連の権威や存在意義がなくなる」とイラク攻撃に反対する姿勢を取ったわけである。

結局詰まるところ「未回収代金と石油利権と国連における既得権益」を守るためのイラク攻撃反対ということなのだ。
 
フランスは人口の一割を占めるイスラム系移民との軋轢を抱え、公立学校でイスラム女性のスカーフ着用を禁止したぐらいであり、別にイスラムに対して理解がある訳でもない。

フランスがイラク戦争に反対したのは、「フランスの国益を損うような戦争をアメリカごときに勝手に進められてたまるか」という強い国益護持精神に基くものであって、平和主義でも反戦主義でも何でもない。

ド・ゴールは「軍事力は一千四百年前からフランスの第二の天性」「剣なきフランスはない」「戦争とは一種の政治だ」と述べ、ベトナム独立を阻もうとしたインドシナ戦争を手始めに、仏歴代政権はアルジェリアのイスラム教徒一万人虐殺等々、幾多の戦争や紛争に自ら参戦してきた。

そしてシラクはド・ゴールを尊敬しており、一九九九年にフランス初の原子力空母に「シヤルル・ド・ゴール号」と名付けた程のド・ゴール主義者だ。ド・ゴール主義とはすなわちリアリズム国際政治のことでもある。

それは観念論的な平和主義(パシフィズム)とは相反する。反戦主義のために他国の戦争に反対する国など、世界には一国も存在していない。

この背景を知っているからこそブッシュ政権は、フランスに対して「フランスの利益のために米国の安全を犠牲にせよと言うのか」と憤激したのである。

愚かにも朝日新聞は「理は仏独にある」と題した社説を掲載し、馬鹿な日本の左翼は「フランスを見習え」と主張していたが、呆れるほどに米仏対立の真相を何もわかっていない。

ではドイツはなぜか。ドイツは日本同様に国連による秩序の中では何の権限もなく、イラクに兵器もほとんど売っておらず、石油利権も有しておらず、普通に考えれば反対する理由は何もない。

実はドイツのシュレーダー社民党政権は元々反米左派で、しかも次の選挙では反米反戦を掲げる緑の党を取りこみたい、そういう単なる国内事情である。

与党であるドイツ社会民主党(SPD)は、元々は一八七五年にドイツの改良主義派とマルクス主義派が合体して結成し、ナチス政権下で解散させられたものの戦後西ドイツで再建された政党である。

西ドイツが西側陣営に属していたので表向きは反共主義を掲げてはいたが、その西ドイツそのものが一九六〇年代から急激に左傾していき、元ドイツ赤軍関係者のシュレーダーが党首となるに至った。

現在SPDはドイツ労働組合総同盟を支持基盤とする共産主義と紙一重の左翼政党である。なお連立する緑の党に至っては、さらに左寄りの反米極左である。

共産主義国であった東ドイツを併合した現ドイツでは、今でもマルクス・レーニン主義を引きずっている勢力が根強く存在しており、緑の党なんかはその典型なのだ。

ドイツの外相なんかは緑の党で元々筋金入りの反米マルクス主義者であり、アメリカもまったく相手にしていない様子が見える。

つまり日本に例えれば村山政権みたいなものがたまたまドイツの政権を握っていたということだ。

哀れといえば哀れだが、日本も一歩間違って加藤紘一とかが首相であったら、ドイツと同じく誤った選択をしていたことであろう。(ちなみにイラクから自国軍を撤退させたスペイン与党の社会労働党も、その名が示すとおり反米マルクス主義を党是とする左派政党である。)

一方イギリスは、アメリカの世界新秩序つまり「第三世代の国連」の中でも最重要ポストは確実であり、また石油の採掘権や軍需などの国益も念頭にあるだろう。

フレア首相を「ブッシュのペット」だのと揶揄する人もいるが、フレアは橋本首相を「日本の首相、SUNに謝る」で嵌めたように狡猾な人物であり、共和党政権との間に英国益を確保する密約はしっかりと交わしている。

また米国世論には「第二次大戦でアメリカは英国を救ってやった」というメンタリティが根強いため、もしイギリスがイラク攻撃に反対すれば米国の怒りはより激しいものになることも熟知している。

従ってイギリスがアメリカと共同歩調を取るのは当然なのであり、ただ欧州内での立場と英国世論の手前もあって国連の議決を欲しがったのだ。
 
かくして米国と同盟国の力だけで世界新秩序をつくろうとしているブッシュ政権に対し、現行秩序に基く既得権益を守るためにそれに対抗しているのがフランスであり、この根本的対立が存在する以上、今後共和党は、ドル防衛と対中戦略のパートナーとなるロシアは許し、相手にもしていないドイツは半ば無視するであろうが、フランスの行動は絶対に許さず根深いしこりを残すことであろう。

アメリカではフランス製品のボイコットリストが作成され、エビアンを筆頭にワインやブランドファッション品等に加え、なんと仏ルノー社資本下に入った日産自動車の車までもがボイコットリスト入りしている。

「坊主憎けりや袈裟まで憎い」といった程に共和党の対仏憎悪は肥大しているのだ。そしてこのアメリカと仏独の対立は、実は日本にとっては喜ぶべき有難いことである。

アメリカと欧州の関係が悪くなれば、アメリカにとって日本との同盟の価値はより高くなる。そういう発想こそが国益重視の視点ということだ。(米英と独仏の和解を仲介するどか言って小泉首相や川口外相がヘコヘコと欧州へ赴いていたが、本当に日本は甘いお人好しの国なのだ。)

かつて旧ソ連に長年抑圧され共産主義独裁政権下で苦しんできた東欧諸国は、スターリンを崇拝する独裁者フセインには当然好感情を持っておらず、またそれらの国々の幾つかは第二次大戦当時にドイツの同盟国であったために国連では敵国条項に規定されていて何の権限もない。

さらにロシアヘの警戒心が根強く、一方「共産主義独裁から解放してくれたのはレーガン政権である」という感謝心も存在している。

従って東欧諸国がすばやくアメリカ支持を表明したのは当然のことであろう。

二〇〇四年五月に東欧十力国はEUに加盟したが、このままであれば英独仏から見下された立場のままであり、アメリカの同盟国として「新しい戦勝国」になって世界新秩序の中心に座りたい、欧州を西側中心の「古い欧州」から東欧中心の「新しい欧州」にしたいという、国益に基いたアメリカ支持なのである。

将来的には、アメリカがドイツ駐留米軍を全て、親米的な東欧諸国へ移動させることも十分に考えられる。

すでにアメリカはドイツに駐留する三十万人の米軍を十万人に削減しており、フランクフルトにある欧州最大の米軍基地は数年以内にドイツに返還されることになっているため、米軍は撤去準備に入っている。

そうなると米国の同盟国の中では、同盟年数の実績が有りアメリカから信頼のおける同盟国であるのは日英二力国だけとなる。

イラク攻撃時の小泉首相の米国支持、そしてイラク復興のための自衛隊派遣、これらにアメリカが大喜びしたのは、「キリスト教国の米英VSイスラム教国」という宗教的対立図式にしないために、非キリスト救国にして信頼のおける主要国が米国側に共に立ってくれることの象徴的な意味の大きさ故である。

四十力国近くがイラクヘ兵を派遣しているといっても、安保理常任理事国五力国の内の三力国(仏露中)は派遣を拒み、国力からしても英国以外に有力国は参加しておらず、アメリカは日本からの派遣を一日千秋の思いで心待ちにしていたのだ。

ワシントンに滞在している私の知人は、自衛隊先遣隊がイラクヘ発った日、通りすがりの元軍人とおぼしき八十代ぐらいの白人から「日本人か?」と聞かれて「これでお互いの全ての過去は水に流れ、米日両国は真の友人となった」と話しかけられたことを知らせてくれた。

イギリスはメンタリティとしてはアメリカと最も深い絆があるが、経済力においては世界第五位である。日本は痩せても枯れても世界第二位の経済大国だ。

日米同盟とは、世界第一位と第二位の経済大国の同盟であり、日本に欠けているのは、世界秩序のために軍事力を用いるための国家戦略と法整備、そしてそれを下支えするところの国民の意識なのである。

さてアメリカの主張する「正義」とは往々にしてアメリカの国益のことである。

アメリカがメキシコと戦争するために二百名の米義勇兵を犠牲にした一八四五年のアラモ砦、同じくスペインと戦争するために二百六十名の米兵を生贅にした一八九八年のメイン号事件、そして日本と戦争するために二千四百名の米兵を囮にした真珠湾謀略。

大義名分の「正義」を掲げ、または意図的に「正義」を捏造して、戦争を始めるのはアラモ砦以来のアメリカの伝統であろう。

しかし、それは主権国家として当然のことであり、それを批判する人間は、弱肉強食の原理で成り立つ国際社会に対して誤った幻想を持っているのだ。

ちなみにイラク戦争を「アメリカによる侵略だ」という論調を多く見かけるが、この主張をしている人は「先制攻撃イコール侵略」という単純なイメージでしか戦争を捉えていないのだ。

本書の冒頭で述べた「侵略の定義」について想起して頂きたいのだが、米国が自衛戦争だと言えば自衛戦争とされるのが国際法である。

従ってフランスなど米国を批判している国でも「アメリカの侵略」といった論調は全くなく、こんな無知をさらしているのは日本の言論だけなのだ。

二〇〇二年一月にチェイニー副大統領は「アメリカは、世界で最も危険な政権が、我々を脅かすことを許さない。時は我々に味方しない。危険が高まる中、何か次の事件が起こるまで待つつもりはない。災厄が近づいてくる時に、傍観しているつもりはない」と先制攻撃を含めた自衛の決意を述べている。

911テロで過敏になってはいたものの、若干は過剰防衛ではあったかもしれないものの、当事国が自衛だと言う以上は自衛と解釈されるのがケロッグ・ブリアン協定なのだ。

もし先に攻撃することが侵略というのならば、開戦準備を進めていたロシアに対して日本から先制攻撃をかけた日露戦争は日本の侵略ということになってしまう。

北朝鮮の対日核ミサイル基地に先制攻撃を仕掛けても侵略となるのならば、菅直人の言うように「何度も繰り返し攻撃を受けてから」でないと自衛戦争はできないことになる。

そんな馬鹿な解釈は日本の左翼の頭の中以外には世界中どこにも存在せず、攻撃を待っていたら本当の自衛にはならない。

戦争とはどちらか一方の攻撃が先行して始まるが、攻撃を受けてから防衛戦を戦うのも自衛であれば、攻撃される前にその被害を防ぐために先制攻撃を仕掛けるのも自衛である。

フランスのように自国益のために反対するのならばまだしも、「アメリカの侵略に日本が加担してはいけない」という子供だましのような反米左翼の幼稚なプロパガンダに惑わされてはならない。

ともあれ実際にイラク攻撃が開始されるとフランスは、「我がフランスは同盟国である米英の側にある」と声明し、ドイツはアフガニスタンにドイツ軍を増派して米英の機嫌を取ろうとした。

この変節の理由は、開戦となった以上は崩壊必至のフセイン政権をかばうメリットがなくなったこと、次いでイラクの戦後復興利権や石油利権を確保するため、そして仏独の予想に反して五十力国前後の国がアメリカを支持する「同盟国」となったこと、これらの理由によって仏独は校滑かつ国益重視の外交戦術に転じたということである。

しかしこの変節程度ではアメリカの対仏憎悪は何も変わらず、また一方フランスも米国による世界秩序再編の動きが止められないことを自覚するや、新しいアクションを起こし始めた。

それは米中冷戦において「米国の敵」に回るという戦略だ。

フランスはパワー・ポリティクスの戦略を巧妙に使いこなすという点においては、世界でも有数の国であり、「敵の敵は味方」の原理を実行したのである。

二〇〇四年一月二十七日、訪中したシラク仏大統領は胡綿濤と会談してブッシュ政権を「一国支配主義」だと批判し、さらに「ダライ・ラマはチベット独立を断念するべき」「台湾の国民投票は無責任で危険な試み」「フランスは台湾が中国領土であるとの立場を確認する」と述べ、中共とフランスの戦略的パートナー共同宣言に署名した。

アメリカに対抗するためにフランスは中共と手を組んだのである。

このシラク発言に対して台湾の呂秀蓮副総統は「シラク大統領は中国市場に目がくらんだ」と厳しく非難し、台湾政府は対仏交流一時凍結を発表した。

次いで二〇〇四年三月、フランスは中共領海の青島沖海域で人民解放軍とフランス軍の合同軍事演習を行うに及んだ。

演習上の仮想敵国は日米台の三力国である。

この仏中合同軍事演習の「意味」をアメリカはよく理解しているが、日本は何も理解していない。

日本のマスコミはこの演習を小さなべ夕記事で報じただけで、米中冷戦のパワー・ポリティクスの大きな変化に気付いていないのだ。

たとえシラク大統領が個人的には親日家であっても、プロの政治家にとって国益は常に私情よりも優先される。

現在、フランスそしてドイツのシュレーダー政権は、EUによる対中武器禁輸措置を解除せよと主張しており、逆に解除に反対しているのが英国・オランダースペイン(アスナール前政権)等である。

読者諸氏ももうお気付きであろうが、このEU内での親中(仏独)と反中(英蘭等)の立場は、そのまま米国のイラク戦争における「反対」と「支持」の立場に重なっているのだ。

欧州においても反米ならば親中、親米ならば反中といった図式が成立しているのである。

今や米中冷戦は、日本・台湾・インド・ASEANのみならず欧州にまで「拡大」した。

フランスが台湾やチベットを見捨て中共の戦略的パートナーとなったのは、そのプライドから米国の風下に立つのを潔しとしないことから、米国に対抗する中共の側に立つに至ったということだ。

まさしく今でも「欧州情勢は複雑怪奇なり」である。



世界は腹黒い イラク戦争の舞台裏を暴く
http://ochimusya.at.webry.info/201111/article_5.html


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Link: ブログテーマ 「日本人が知らない シリーズ」
http://ochimusya.at.webry.info/theme/57295fd580.html



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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
自国の国益を優先せずに行動している国があります。
それは日本です。
まずは核武装しないと、いつまで経ってもお人好しのポチのままです。
coffee
URL
2011/11/04 21:56
coffeeさん
全く同感です。
落武者
2011/11/04 22:46
『日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略』の本の帯、まさにそのままに動いているように思えます。
モカエク
2011/11/06 22:38
モカエクさん
「強い日本を待望する米・共和党」と
「弱い日本を管理したい米・民主党」

(ブッシュ政権時は) 同盟国として日本の核武装も容認可能な共和党、一方、(オバマ政権では)TPPで、日本の弱体化と日本を管理したがる民主党と言ったところでしょうか。

日本企業は、米・民主党政権のときに、必ず吊るしあげられています。
落武者
2011/11/07 00:08
私自身、ビジネスを始めてから、お金に対する人間の腹黒い部分を目の当たりにして、人間不信に陥った経験があります。また、その腹黒さは、自分の中にもあることを知った時は、ショックを受けました。ただ、こういった経験は、世界のこのような裏側に比べたら、本当に、軽いものなんだな…と感じます。
フランクリンプランナーに挑戦中
URL
2012/12/04 18:55



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