パワーポリティクスの未来学 Part2

地政学に基づく、日本が取るべき国家戦略とは?

前回の Part1 に引き続き、その核心の部分を紹介しよう。



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    『日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略』 (P551 ~ P560)
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【日本の国家戦略(二)】

パワー・ポリティクスの未来学

実は米国共和党は長年この地政学を全ての国際戦略の基礎に置いており、共和党系シンクタンクは優れた地政学者の宝庫なのだ。

この地政学に基づくパワー・ポリティクス戦略はリアリズム国際政治とも呼ばれ、地政学者でもあったH・キッシンジヤー(ニクソン共和党政権の国務長官)が中共を国家承認したのは、中ソのランドパワー同盟を決裂させ対立させるためであった。

共和党政権による中ソ離反工作によって中共との同盟を引き裂かれたソ連は、ランドパワーにおける有力なパートナーを失い、英国や日本といった有力なシーパワー同盟国を保持するアメリカに破れ去り崩壊に至る。

実は共和党は一世紀前から地政学を重視してはいたものの、地政学を明確に党学として位置付けたのは第二次世界大戦における「失敗」にその端を発している。

第二次世界大戦ではシーパワー同士である日本と米英が戦い、一方米英はランドパワーのソ連及びシナと手を組んだが、その結果は英国は世界中の植民地を失い、米国は膨大な戦死者を出しかだけで何の利益も得られず、シナ(国民党政権)は弱体化して内戦に破れ、日本は焼け野原となり、シーパワーの日本と結んだ大陸国ドイツも瓦傑の山と化した。

シーパワーの英国と組んで同じランドパワーのドイツと戦った大陸国フランスは屈辱的な大敗を喫し、一方の英国も欧州戦で孤立して敗戦寸前まで追い詰められるに至っている。

ランドパワーのドイツは実は当時地政学の研究では先進国であり、そのために欧州における中間国家であるイタリアをまず抱きこみ、さらに同じランドパワーのソ連と不可侵条約を結ぶことで、戦争の前牛は圧倒的な強さを示して欧州全土を手中に収めた。

しかし勢いに乗った余りに、同じランドパワーのソ連への侵攻、そして英国のシーパワー同盟となる米国への宣戦布告、この二つの判断ミスによって」気に形勢不利となったのだ。

つまりドイツが地政学を無視した段階を境にして戦況は逆転したのである。

ドイツが中間国家イタリアを抱えたように、日本も朝鮮という中間国家を併合していたことから大陸からの脅威を受けずに、戦争の前半は圧倒的な強さを示している。

しかし地政学的にドイツと相性のわるいシーパワーの日本は、ドイツの切望したシベリア北上ではなく逆に南進し、欧州戦でも全くドイツの役には立だなかった。

また同様に日本の太平洋戦争でもドイツは何の役にも立たなかったのだ。

さらに半島国家イタリアに至っては、地政学における半島国家の宿命どおり両パワーの代理戦争的な内戦を起こし、ムッソリーニがパルチザンの手で吊るされるに及んだのである。

「先の大戦の日本の失敗はドイツと同盟を結んだことだ」という人は多いのだが、それが何故失敗であったかの本質を理解してそう言っている人は極端に少ない。単に戦勝国プロパガンダによって悪魔化されたナチスドイツのイメージによって、そのように言っているだけの人がほとんどであり、ランドパワーとシーパワーの誤った同盟がその本質であることを理解していないのである。

それでは一体何故、ランドパワーのソ連は、シーパワーの米英と組んだのに戦争の結果利益を独占することができたのだろうか。実はここで重要なキーワードとなるのが当時米国の政権にあった民主党(米国)なのである。

ルーズベルト政権が容共親ソでソ連のスパイだらけであったことは既に述べた通りだ。では当時民主党政権が傾倒していた共産主義とは一体何なのか。

共産主義とは大陸国ドイツで生まれ、大陸国ソ連を通じて同じ大陸国たるシナや東欧を呑み込み、アフリカの大陸国にも広がっていった、すなわち大陸国家の文明に他ならないのだ。

専制・独裁・弾圧・虐殺といった共産主義の特徴は典型的な大陸国家文明の特徴と一致しており、一方、資本主義市場経済や議会制民生主義といった自由主義は典型的な海洋国家文明でもある。

キューバなどのごく一部の例外を除いて、地上に存在したる共産主義国の大半は大陸国家(および中間国家の大陸側部分)であり、米ソ冷戦に代表される共産主義と自由主義の戦いとは、「陸の文明」と「海の文明」の対立、ランパワーとシーパワーの対決に他ならなかったのである。

つまり「陸の文明」を信奉するに至っていたルーズベルト政権は、シーパワー同盟としては英国を大いに助けたものの、同時にソ連が戦争利益を手中に収めるのも結果的に助けてしまったということである。

要するに容共であったが故に共産ソ連への警戒心がなく、そのため安易に東欧やバルト諸国やシナを共産主義という「陸の文明」に差し出してしまったのだ。

第二次大戦の結果、米国が何の利益も得られなかったのは、本来は米国が体現する自由主義・民主主義・資本主義という「海の文明」の伝幡による親米国家拡大という利益を、ルーズペルト政権の志向する文明の方向性のせいでソ連の「陸の文明」に譲り渡したからなのだ。

一方それに対して反ソを党是とする共和党は、この「陸の文明」を激しく拒み、ランドパワーのソ連と対決するために、シーパワーの日本との戦争には強く反対し続けていた。

マッキンレー共和党大統領の幻の構想「米英日三国同盟」こそは、まさにシーパワー同盟であり、ブッシュ政権の「欧州に英国、アジアに日本、この二つの同盟国と世界新秩序を構築する」という戦略もシーパワー同盟そのものである。

反共とはすなわち反「陸の文明」であり、反ランドパワーのことである。従って反共にして地政学を党学とする共和党が一員して日本を重要視し「日本には媚びもせず挑発もせず、公正と共感をもって対処しよう」(J・マクマリー)とするのは、パワー・ポリティクスの根本的な「原理」に菓づく当然の政治的選択なのだ。

つまり資本主義と自由主義を基幹とする保守政党である共和党は「海の文明」型の政党であり、それ故に「陸の文明」たるユダヤのニューエコノミー(バーチャル金融経済)やグローバリズムを否定し、共産主義中共との対決を堅く決意している訳である。

そして一方の民主党は社会主義と容共リベラルを基幹とする「陸の文明」型の政党であることから、ユダヤ国際資本々中共と手を組むのである。

また民主党が日本を「弱い日本」のままで管理下に留め置こうとするのも、「陸の文明」型の政党ゆえに日本のシーパワーを封じ込めたいという「原理」に突き動かされているのだ。

なお、もう一つ忘れてはならないことは、現在共和党ブッシュ政権が戦っているイスラム原理主義は「陸の文明」であるという点である。

イラク戦争とはまさにハンチントンの述べた通り、文明の衝突に他ならないのだ。

有史以来、世界を動かしてきた全ての根源がこの二つのパワー、この二つの文明の対立であり、実は日本国内における保守主義者とマルクス主義者の戦いもまた、海洋国家日本が「海の文明」を選ぶのか「陸の文明」を選ぶのかという戦いである。

「陸の文明」たるマルクス主義を信奉する左翼勢力がアメリカを敵視するのも、最大のシーパワーを倒さねばならないことを本能的に理解しているからなのだ。

中共が日本国内の中共シンパを使って日米離反戦略を進めるのもシーパワー同盟を裂くためであり、「陸の文明」のマルクス主義を信奉する左翼が祖国日本を自虐史観で穢そうとするのは、日本の「海の文明」の国史を無意識に憎み、中共史観(反日的階級闘争史観)という「陸の文明」を日本に導入させるためである。

彼らが台湾を侮辱した行動をれるのも、日台同盟こそが強力なシーパワー同盟となってランドパワーの中共政権転覆につながるからだ。

おそらく彼らは意識はしていないが、無意識の内に本能が人類最大の「原理」に従って自らを動かしめているのだ。そして少なくとも中共はそれを理解した上で、日本の中共シンパ政治家や外務省チャイナスクールを操っている。

では日本の正しい近未来への選択はいかなるものか。その解答もこの地政学のパワー・ポリティクスが指し示している。

まず最初の前提として、日本と中共は決して共存することが不可能な不倶戴天の対立するパワー、対立する文明であることを理解しなければならない。

「敗北」という言葉の由来は先述したが、日本の北にあるのは大陸である。東にも西にも南にも海しか存在していない。つまり日本が戦ってきたものは常に大陸のランドパワーであり、言い換えれば日本と中共は衝突する永遠的な宿命のもとにあるのだ。

榊原英資の言うような「親米、親中を同時に」などという「戦略プラグマティズム」なるものが、いかに人類の歴史を動かす「原理」たる地政学を無視した愚論であるか、ここまで読み進められた読者諸氏はもう十分にお分かり頂けたのではないだろうか。

私が日台そして日印の安保同盟を提言し、日米台印アジア安保にASEANを加えた対中包囲網を構築せよと述べてきたのは、シーパワー連合に中間国家インドを加えた体制が完成すれば、中共のランドパワーの敗北が確実だからである。

大東亜戦争以前、アジアの国であるか否かを区別する基準は肌の色であったが、それは大東亜戦争によって過去のものとなった。

現在、その国がアジアかどうかを区別するものは地政学的な位置にある。もっと分かり易く言おう。

つまり現在においては、日本か中共かのいずれかの勢力圏下に収まるべき地域をアジアという。朝鮮半島、ASEAN、台湾、そして中共に隣合わせるインド、モンゴル、バングラディシュ、ネパールも現在の地政学的アジアとなる。

アジアのシーパワー代表は日本、ランドパワー代表は中共だ。

日本か中共か、どちらがその地域の秩序を荷うかによって、アジアがシーパワー勢力圏となるのか、ランドパワー勢力圏となるのかが決する。

もしアジアがランドパワー勢力圏となれば、アメリカのシーパワーと必ずや衝突し、アジアの半島国家や中間国家がその戦場となる。

西欧文明と中華文明が衝突する米中冷戦下では、アジアでの紛争・限定核戦争は起こりうると私か指摘したる所以だ。

一方、アジアがシーパワー勢力圏となるということは、すなわち中共政権が崩壊し分裂して平穏な民主国家となることであり、米国とアジアはシーパワー連合として安定した関係を維持できる。

日本の使命が米国とアジアの架橋だと述べたのもこれに由来する。

そして本書で私が再三「中共と対決せよ」と主張してきた真の理由は、アジアをどちらのパワーの勢力圏とするかによって、日本の未来、アジアの未来、人類の未来が大きく変わってくるからである。

「日本は米中冷戦の当事国」だと強調してきたのも、この地政学上のパワー・ポリティクスによる日本の立場に基く。

では日本の現状はどうか。政官民揃って中共に媚び続け、莫大なODAを献上し、大切なシーパワー同盟候補の台湾を叩き、鍵を握る中間国インドに経済制裁を課し、あげくの果てには日本とのシーパワー同盟強化を希求する共和党ブッシュ政権を罵倒して、「親米ポチ」云々といった日米離反プロパガンダが響くといった始末である。

ここで前述した日本人が忘れてはならない地政学の方則の二つめを思い出して頂きたい。

両パワーの衝突において対決を避けたほうの国は必ず、相手国の属国となる以外に国家として存続する道はないという、人類の歴史が証明する鉄則のことだ。

つまり日本が中共との対決を避けた場合には、日本を待つのは中共の属国となる近未来しか存在しないのである。

東アジアの近未来について、地政学者でもあるキッシンジャーがワシントン・ポスト紙に寄稿した論文では、「日本の安全保障の生命線である朝鮮半島で(北朝鮮が)核の完全廃棄に応じないかぎり、日本は自身の核武装なしには国家として生き残れない」と断じる一方で、日本の武力強化は「(強い日本との同盟を望む)共和党にとっては好機、(対日封じ込めを望む)民生党にとっては挑戦」と指摘し、さらに日本の近未来について地政学に基いて予測すれば

①日米同盟中心の方針を継続する、
②中国主導下のアジア連合の一員となる、
③前二つを選択せずに非同盟型の軍事大国となる、

以上の三つしか有り得ないと結論付けている。


ここでもう一度、前出の米国防総省の「アジア2025」レポートを想起して頂きたいのだが、地政学が結論付けるこの三つの可能性とは、「アジア2025」レポートの予測と全く同一なのである。

つまり日本が軍事大国化する可能性が低い以上は、米国との対等なパートナー化を選ぶか、中共の衛星国となる道を選ぶか、そのどちらかしか存在していないのである。

もし嘘だと思うならば、もし第四の可能性が存在すると思うのならば、国内外のあらゆる地政学の本と論文を取り寄せ、米欧のシンクタンクの発表したアジアの近未来予想を片っ端から調べてみればお分かり頂ける。

米国とシーパワー同盟を強固にして中共と戦うのか、戦わずにこのまま完全な中共の属国となって「永遠的なる卑屈」を受け入れるのか、それとも二つのパワーの衝突に際しても中立を維持できる強大な超軍事大国となるのか。

日本がこの三つの内のどの道へ至るか、今から二十年後にはその答はすでに出ている。

地政学の泰斗にして高名な神秘哲学者であったカール・ハウスホッファ博士は『統合地域論』の中で、人類の未来を予測して「世界は最終的に四ブロックに分かれ、各ブロックでは米国・ロシア・日本・ドイツの四力国がブロックリーダーとなり、国際勢力均衡が成立して平和な世界が訪れる」と述べ、同時に日本がアジアブロックのリーダーとして為すべきことは「シナのランドパワーをいかに征圧するかである」と説いている。

米国はすでにスーパーパワーとなり、欧州はドイツ(及びフランス)を中心にEUとしてブロック形成が完成しつつあり、ロシアは再び「強いロシア」の復活を目指して邁進しているが、日本だけが中共のランドパワー征圧どころか逆に中共に征圧されつつある。

日本が中共の属国となって、アジアで米国のシーパワーと中共のランドパワーが衝突することになれば、再びASEANの地は戦場となる。

自虐史観から「アジアに謝罪を」と叫ぶ愚かな左翼は、日本を弱体化せしめる中共の戦略に加担し、そのために日本が中共のランドパワーとの衝突を避けて属国となり下がり、結果的にアジアに大きな紛争と流血を招くことになるというパワー・ポリティクスの現実を理解していない。

彼らは「反戦平和」を叫ぶことで、結果的に最も悲惨な戦争にアジア全域を引きずり込み、最悪はアジア限定核戦争へと至らしめるためのレールを敷いているのだ。

「武力行使によってしか維持できない平和がある。戦争によってしか変えられない秩序がある」と私が本書で何度も述べたのは、日本が中共と本気で戦う覚悟を固めればアジアにおける両パワーの衝突(米中代理戦争)は防げること、すでにアジア制覇の下準備を終えた中共の現行秩序を日本が崩すことでアジアをシーパワー勢力圏に引き戻せること、そしてそれができる国はアジアに日本しか存在していないことに由来する。

目先だけの「反戦平和」のお題目ではなく、真の平和、リアリズムに基く本当の平和を日本が希求するのであれば、日本は自らの血を流す覚悟で中共と対決するしかないのだ。

かつて日本は自ら血を流してアジアを白人支配から救った。

一度できたことは必ずもう一度できる。アジアを二つのパワーの衝突点にしないために、日本がアジアの楯となって中共に対峙すればよいのだ。

護憲だの戦争放棄だのという絵空事は本物の平和主義ではなく、自国だけは血を流したくない単なるエゴイズムにすぎない。

戦って対決して血を流してでもアジアの平和を維持してこそ始めて、日本は真の平和主義国家となれる。

一国エゴイズムでしかない卑怯な妄想平和主義なのか、アジアの平和を守るために戦争も辞さない鋼鉄の現実的平和主義なのか、日本がどちらを選ぶかで日本とアジアの未来は変わる。

大東亜戦争における海洋国家日本の奮戦が東南アジアの海洋国家群に独立という「利益」をもたらしたように、モーゲンソーの説く「ビリヤードの玉」のごとくパワー・ポリティクスは全て連鎖しており、日本が中共との対決を避けることはアジアの平和を破壊することに確実に連鎖していくのだ。

さて、かくの如く私か本書で述べてきたあらゆる全てのこと、中共の対日弱体化戦略、朝鮮半島情勢、親日と嫌日の「二つのアメリカ」、米仏対立、仏中接近、イラク戦争、国運と世界新秩序、日本国内の「内なる敵」、これら全ての根源はこの地政学のパワー・ポリティクスに帰結する。

つまり戦争や国内外の政治を考える時の基本に、この「原理」さえ敷いておけば決して誤った発想には至らないのである。

しかし果たして日本の政治家のどれだけの人間が地政学とリアリズム国際政治学、このパワー・ポリティクスを学んだことがあるのだろうか。

与党にあって反米を唱え中共に媚びる古賀誠や加藤紘一なんかは、反米はすなわち反シーパワー同盟であり、対中服従はランドパワーの覇権下での属国化だという地政学の鉄則を耳にしたこともない筈だ。

日本には共和党のように地政学を国家戦略として持つ政党は一党もなく、民生党マニフェストに言わせれば「国連中心主義で世界の平和を守ります」といった始末である。

実は国連が戦争を止めることのできない無力な存在である理由も、国連なるものがランドパワーとシーパワーを混在させているからであり、共和党の「新国連」構想とは原則的に「海の文明」を持つシーパワー国家主導連合のことに他ならない。

さらに私が本書で「左翼・中共シンパが日本を中共の属国にしようとしている」「日本は中共の属国と化しつつある」と述べたのも、2025年の近未来予想に基く実証的リアリズムによるものであり、観念論や悪罵でそのような表現をしているのではないことは、もうご理解頂けたことと思う。

つまり、このままでは日本は本当に中共の属国になってしまうのだ。

しかし絶望する必要はない。実は二つだけ、希望が存在しているのだ。現在日本はその本来のシーパワーを封印されている。米国とのシーパワー同盟といっても名ばかりで、事実上は米国のパワーの保護下にある。

中共のランドパワーと対決するに足る日本のシーパワーを封じている檻の鍵は、二つ存在している。

一つは自虐史観だ。ブッシュはこの鍵を開けるために靖國参拝を申し入れた。「新しい歴史教科書をつくる会」も、私が代表を務めていた日本歴史修正協議会もこの鍵を開けようと頑張っている。しかしこの鍵はひとまず置こう。

もう一つの鍵は妄想平和主義である。具体的に言うと憲法第九条だ。この鍵が北朝鮮のおかげで開きかけている。これが一つめの希望である。

日本からこの「護憲」という妄想の封印が解かれたとき、日本はその本来のシーパワーを発揮できる環境が整う。
かつてアジア植民地から欧米諸国を一掃したぐらいの強力なパワーが発動可能状態となる。

その次の段階で必要となるのは、海外での武力行使を可能とすることだ。これは中共がそれを可能とする以上は、同等の条件の下に対決できなければ、日本のシーパワーは中共のランドパワーに対して敗北必至だからである。

私がイラク攻撃の支持や自衛隊のイラク派遣を全面肯定し、かつ「できれば戦闘部隊を派遣するべきだった」と述べるのは、全てこのためである。

小泉首相のように「米国に北朝鮮から守ってほしいから」といった目先の理由ではなく、全てはこの日本のシーパワーを目覚めさせるための必要な条件を整え、中共のランドパワーに勝利せんがためなのだ。

反米を唱える論者たちは「イラク攻撃や自衛隊派遣を親米ポチが支持するのは、アメリカに北朝鮮から守ってほしいのだ。生命と財産だけが一番大事なのだ。だからアメリカに盲従している」と決め付ける。

自分たちが無知だからといって相手も皆が馬鹿だと決め付けられては迷惑だ。日本が中共と対決してアジアを両パワーの衝突から守るため、そして日本が中共の属国へと至る道を回避するため、「戦うべきときに戦える国」になるためのプロセスとして自衛隊海外派遣は一つの関門を越えたことになる。

「二つのアメリカ」の存在も知らず地政学の「原理」も知らない幼稚な反米論者よりも、「北朝鮮の脅威があるから仕方ない」という近視眼的な人々よりも、そして言うまでもなく「大陸の文明」たるマルクス主義に脳をやられて劣化ウラン弾だのヘチマだの騒ぐ左翼よりも、彼らの視点よりも全く次元の違うスケールで私はイラク戦争を捉えている。

自衛隊イラク派遣とは、日本のシーパワーの封印を解く契機にして、ランドパワーと戦うための「準備」の第一段階なのだ。

さて、読者に提示できるもう一つの希望についても述べよう。これは地政学の鉄則の一つでもある重要なポイントだ。

これまでの人類の歴史上、シーパワーとランドパワーが対決を避けずに正面から衝突したとき、そのときは例外なくシーパワーが勝利を収めている。これは陸の「争いの文明」よりも海の「協調の文明」を天が選ぶということなのか。

対決を避けて海洋国家が大陸国家の属国となったケースを除き、両パワーの衝突においては必ずやシーパワーが勝ち残るというのが地政学の方則なのである。

人類の歴史を鑑みれば、カルタゴ、中世イスラム帝国、大モンゴル帝国、ムガール帝国、ロシア帝国、オスマントルコ帝国その他、これら大陸国家から生まれた「陸の文明」のランドパワーは例外なく、「海の文明」のシーパワーによって打倒されている。

西の「海の文明」の王者たる米国も「陸の文明」たるソ連共産主義を倒し、現在はイスラム原理主義という「陸の文明」と戦っている。

人類史と地政学に基けば、この戦いはシーパワーたる米英が最終的に勝利することは必然である。

そして一方、東の「海の文明」の王者たる我が日本も、かつてロシア帝国の膨張的白人支配主義や清の中華覇権主義という「陸の文明」を打倒してきた栄光ある「海の民族」なのだ。

日本がこれらのランドパワーとの対決を避けずに戦ったからこそ、日清・日露戦争での敗北をきっかけに清帝国もロシア帝国も崩壊へと至っている。

つまり地政学に由来する人類の歴史は、もし日本が目覚めてそのシーパワーを発揮さえすれば、中共という「悪の帝国」を打倒できる定めにあることを如実に物語っているのだ。

ここで日本の採るべき戦略をもう一度再確認するならば、アジア全体の真の平和と秩序を維持するために、日本が米国とのより強固なシーパワー同盟を築き、台湾やインドと安保を結び、アジア円通貨圏を構築し、ASEAN防衛に責任を負い、中共のランドパワーと全面対決してアジアをシーパワー勢力圏に置くこと、まさにこれが日本が2025年までに実現するべき中期的未来戦略にして日本の最初の使命に他ならないのである。

さて、それでは続いて「さらにその次の時代」のために日本の長期的未来戦略を述べていこう。日本が中共と対決するべき近未来から中期的未来においては、イラク戦争を序章とする「文明の戦い」が継続し、世界から戦火の絶えない時代が続くだろう。

20世紀の終わり頃に欧米の政治哲学者たちが提示してきた世界の未来像は、およそ四つのビジョンに大別される。

まず『歴史の終わり』のフランシス・フクヤマ等に代表される理想的ビジヨンたる『調和のとれた幸せな一つの世界』、

そして米ソ冷戦下のような「二つの極に分類され相互に衝突する二つの世界」、

さらに混乱の増す「約184の国家がそれぞれの国益に基き、他国と衝突や同盟を広げる184の多極的世界」、

最後にこれは最悪の状態である「民族や部族、宗教や文明か衝突し、テロリズムが蔓延し、大量破壊兵器が拡散する無秩序の混沌世界」である。

つまり未来の世界は、一つか、二つか、184か、混沌か、そのいずれかということである。


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