世界は腹黒い イラク戦争の舞台裏を暴く

前回のエントリー、「世界は腹黒い 複雑怪奇な国際政治」に引き続き、国際政治の裏舞台が述べられている論説を紹介したい。

イラク戦争に関して、日本のマスメディアが報道している稚拙な解釈で、多くの日本人は納得してしまっている。

しかし米国のイラク攻撃には、日本のマスコミが伝えていない、真の理由があったという。

『日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略』から、米国のイラク戦争に関する論説を、下方に貼り付けておく。※2004年時点の論説であることに、ご留意のこと。



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    『日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略』 (P335 ~ P338)
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【米国の国際戦略】

イラク戦争の真の開戦理由とは

ブッシュの大統領就任時に、すでに共和党はイラク攻撃を想定するプランを作成しており、911後にはアフガニスタンとイラクの同時攻撃も検討されていた。

世界新秩序構築の緒戦としてのイラク攻撃(フセイン体制打倒)は、最初からすでに決定していたことなのだ。つまり問題は、いつ攻撃を開始するかというタイミングだけだったのである。

では、何故イラクなのかということだ。前述のように「石油利権」とはブッシュ批判のプロパガンダで二次的な産物に過ぎず、イラク攻撃には直接的な三つのキーワードが存在している。

まず第一のキーワードは、CIA がフセイン政権はあと数年で核兵器を保有するという情報を人手していたことである。

バグダッド南東二十五キロのツワイサには核兵器開発に用いるために大量のウラニウムを備蓄した研究施設が有り、米軍の進攻で警備のイラク兵が逃げたために、無知なイラク人暴徒はこの施設にまで略奪に入ってウラン粉末の詰まったドラム缶を運び出した。

略奪者たちが住宅地の中心でこのウラン粉末をぶち撤けたせいで、ツワイサ周辺では通常値の三百倍の放射線が確認されている。まさにこのウランの存在こそ、イラクの核開発計画を裏付けるものである。

ライス補佐官の言うところの「911の教訓は……脅威には早めに対処せよ」、つまり予防戦争なのである。

一九八六年四月にレーガン政権が「テロヘの予防攻撃」としてリビアを爆撃したごとく、アメリカとりわけ共和党には予防戦争という概念が存在しており、実はその根本には真珠湾攻撃のトラウマがあるとも指摘されている。

前述のようにルーズベルト一派はハルノートを含む真珠湾謀略を共和党に一切隠していた為、共和党サイドにとって真珠湾攻撃はまさに青天の霧震だったのである。

共和党は日本の立場も理解しルーズベルトの陰謀も把握したものの、このトラウマによって「やられる前に攻撃せよ」という概念は残ったということだ。

911テロの後、共和党首脳は「我々は動かぬ証拠を待ってはいられない。煙は銃が発射された後に出る」(ラムズフェルド)、「(次の米国への攻撃は)キノコ雲の形を取って現われるかもしれない」(ブッシュ)、「もし911テロを先制的に回避できたならば、我々はそうしたろう。当然のことだ。次のはるかに破滅的な攻撃を防げるのであれば、我々はそうする。当然のことである」(チエニー)といったように、深刻な危機感を募らせていた。

そんな中で核開発中のフセインが査察をごまかしたり国連決議を無視したことから、共和党にしてみれば「フセインの奴はやる気だな」と考え、フセイン政権打倒の予防戦争を開始したということだ。

さて次にイラク攻撃の第二のキーワードは、サウジアラビアとイラクとの関係にある。

ビンラーディンは勿論のこと911テロの実行犯は十九人中十五人がサウジアラビア出身者で、駐米サウジアラビア大使夫人が米国のアルカーイダに資金供給していたことも判明している。

しかしサウジアラビアは世界一の石油埋蔵量を持ち、ファハド国王は親米主義者である。

現に二〇〇三年十一月にはサウジアラビアの首都リヤドで、ファハド国王の王政転覆を目的とするアルカーイダの自爆テロが行われた位なのだ。

従って現時点でアメリカはファハド国王治下のサウジアラビアとは親密な関係を維持したいのだが、ファハド国王は病弱であり、次期国王となるアブドラ皇太子はアラブ民族主義者であり、フセインとも親しくパレスチナ寄りである。

もしサウジアラビアで国王が交替してイラクと手を組めば、石油埋蔵量の世界一位と二位が反米同盟を結成することになり、そこにシリア・イラン・パレスチナらも加わると、アメリカの石油戦略も対テロ国際戦略も崩壊してしまう。

つまり現在のファハド国王治下のサウジアラビアには手は出せないものの、イラクのフセイン体制を先に倒しておかないことには、アメリカが大変な事態に陥りかねないという予防戦争なのである。

従ってバグダッド陥落後は、アメリカはサウジアラビアのプリンススルタン基地から駐留米空軍を全て引き揚げて移転させている。

要するに「フセインを倒した以上、もうサウジアラビアに目を光らす必要はなくなった」ということだ。

そして第三のキーワードとなるのは、二〇〇〇年十月のフセイン政権による「オイルダラー停止宣言」である。

これによってイラクの原油代金受け取りは、ドルではなくユーロとなり、それにイランまで追随する動きを示した。

仏独などは大喜びしたが、アメリカにしてみれば産油国に対するドルの威信低下は深刻なものがあり、産油国の対米投資が抑制されることから、アメリカ経済は数十%も縮小してしまう危倹があったのだ。

イラク攻撃はアメリカにとっては「石油利権」というよりも、ドルを守るための戦い、すなわちドル支配の崩壊を避けるための予防戦争の側面もあったのである。

それを裏付けるように、二〇〇三年五月一日にブッシュが対イラク戦の勝利宣言を行った途端に世界中の投資が一斉にドル買いに走り、かつてない程の資金がアメリカに流れ込んだ。

その結果聶かれていたドル崩壊の危機は当面は消滅したのである。

さてフセイン率いるバース党は社会主義政党であり、マルクス・レーニン主義の亜流である。

バース党にイスラム色がないのは、イスラム教ではなくマルクス主義をペースにしているからだ。フセイン自身もスターリンを尊敬するマルクス主義者であり、愛読書はスターリンの著作であった。

さらにフセインの反米主義の度合いは常軌を逸しており、例えばバグダッドにある国営アル・ラシッドホテルのエントランスには、足元にブッシュの肖像が描かれており、宿泊客はそれを踏んで出入りする趣向になっていたぐらいである。

またイラクの防空システムは光ファイバー敷設など、中共の支援によって開発されており、イラクは中共からミサイル技術や核物質の供給も受けていた。

湾岸戦争後には、中共空軍のエリート部隊である第三十八航空師団の教官がイラクに滞在して、イラク空軍パイロットの訓練を指導しており、名実ともにイラク空軍は中共が育成してきたのである。

つまりイラクは親中反米のマルクス主義国家でもあったのだ。従ってイラク戦争を米中冷戦下の衝突の一形態だと考えることも不可能ではない。

フセイン政権は一九七九年以降、イラク国内のシーア派やクルド人、反体制派や民主運動家などを百二十万人も殺害している。

イラクの監獄には「拷問部屋」があり、フセイン批判や親米的発言をした者は、生きながらドリルで体に穴をあけられたり、電気イスで焼かれたりしていた。

一例を挙げれば、バグダッドの放送局に勤める女性アナウンサーが休憩時間中に同僚に、フセインの妻について批判めいたことを口にしたところ、その放送局はイラク軍に包囲され同アナウンサーは逮捕のち絞首刑となり、見せしめとして切り取られた舌が遺族に送りつけられている。

このように今も中共が法輪功やチベット独立運動家に、北朝鮮が金正日批判をした自国民に、法治を無視して逮捕し拷問をしているように、イラクもそのスターリン方式を行ってきたのだ。

一九八八年にフセインは、マスタードガス、サリン、タブン、VXガスなどをミックスしたカクテルガスを用いてクルド人約五千人を一瞬にして殺害した。

いわゆるハラブジヤ事件である。ハラブジヤでは今でも異常な高率でガン・白血病・奇型児出産が続いている。

また米軍の攻撃を受けた街では、イラク秘密警察が民家を巡回して、民間人に「なぜ戦わないんだ」と銃を突きつけた。

それに従わずにいた為に射殺された民間人もいるが、これは共産主義国特有の督戦隊を想起する。つまりフセインは、人類に虐殺と災厄をもたらしたマルクス主義独裁者である毛沢東、スターリン、金日成、金正日、ポルポトらの「同類」そのものだったのである。

かくて反米のマルクス主義独裁政権が核兵器を持つ前に、またサウジアラビアと手を組む悪夢を回避するために、そしてドルの信用を守るために、予防戦争で打倒していく、その標的こそがイラクであったのである。

従ってイラクとアルカーイダとの関係や化学兵器などは、実は二の次で単なる口実でしかない。

もし大量破壊兵器が出てこなくても、事実であるか否かは別として共和党政権は「そう判断するだけの根拠があった」と主張するだけのことであり、日本としてはそんなことにこだわる必要も一切なく「日本の国益との合致性」のみで全てを判断するべきなのだ。

ではイラク攻撃支持が日本のどのような国益につながるのか。本書を最後まで読んで頂ければ、その答は得て頂けるだろう。私は「北朝鮮の脅威があるから」などといった近視眼的な観点では考えていない。

全ては地政学のパワー・ポリティクスに由来する。

ともあれイラク戦争の意味する中長期的背景は、ブッシュ政権が911テロをきっかけに共和党の描くビジョンを実行に移し、反米国家を力で殲滅していくという世界新秩序づくりに着手したということにある。

世界新秩序(ニュー・ワールド・オーダー)という言葉は、ブッシュ父が湾岸戦争の時期に初めて口にした言葉だが、その後二期に渡るクリントン政権によって封印されてきた。

レーガンの「遺訓」であり、ブッシュ父が実現できなかった「悲願」であった世界新秩序構想、この共和党の見果てぬ夢をブッシュは父に代わり実行に移したのだ。

共和党の重鎮S・ブラウンバック上院議員は「今、世界では歴史的な秩序の再編が起きている」と述べている。

イラク攻撃はその世界秩序再編への第一歩である。



世界は腹黒い 複雑怪奇な国際政治
http://ochimusya.at.webry.info/201111/article_4.html


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