軍事情勢レポート7 新たなる東亜の繁栄 Part2

軍事研究家、黒井執斗氏の「軍事情勢レポート7 新たなる東亜の繁栄」の Part2 です。

日本のマスコミが報道しない情報が満載です。

まだ、Part1 を読んでない方は、こちら、「軍事情勢レポート7 新たなる東亜の繁栄 Part1」から見てください。



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『 新たなる東亜の繁栄に向けて 』 (軍事研究家 / 黒井執斗)


さて、前述のように無人機が飛躍的な進歩を遂げる中、アメリカの最新鋭有人ステルス戦闘機開発は難航しています。それは、日本も導入を決めているF-35ライトニング2です。

F-35の開発遅れや価格高騰を頻りに煽る報道をしているのは産経です。本当に何かF-35に恨みでもあるかのような拘りぶりですから、それを鵜呑みにする事は出来ません。

しかしながらF-35の開発遅れ、その中でも特にソフトウェアの開発が遅れているのは複数の海外ソースからも明らかですし、高価なF-22ラプターを補完する意味での、ハイ・ロー・ミックスを構成する廉価機として作られるはずだったF-35の調達価格が高騰しつつあるのは事実でしょう。

とは言え、F-35は既に実機での試験飛行を実施しているわけで、その完成度の足を引っ張るのがソフトウェアとは、まるでガンダムの世界が現実になりつつありますね。

通常離着陸(CTOL)機のF-35A、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機のF-35B、艦載機(CV) 型のF-35C、を同時開発する事は勿論ですが、加速度的に進歩する電子機器関係、いわゆるアビオニクスや兵装をコントロールするソフトウェアが膨大な規模となり、迷走が避けられない事態となっています。

では日本がF-35の採用を取りやめ、他の戦闘機へと調達を変更すればいいのかと言えば、それは実質上あり得ないと思われます。それ程に、ステルス性を持った第5世代戦闘機の能力は高く、中国やロシアが開発を進めているステルス機体に対抗するには他に選択肢はないと言えます。

開発を担当しているノースロップ・グラマンのPR動画を観てみましょう。

F-35 JSF AESA Radar (Japanese language) - APG-81
http://www.youtube.com/v/_sKEOtvAukE&feature=youtube_gdata

F-35 統合打撃戦闘機(JSF)分散開口システム(DAS)
http://www.youtube.com/v/BMqVkeyGnD8&feature=youtube_gdata

特にEO-DASの威力は凄まじく、真下だろうと後方だろうと、パイロットは360度全方向を見渡しつつ、どんな方向にでも攻撃をする事が出来ます。

理想を言えば日本も国産ステルス戦闘機を持つべきですが、計画のあるF-3は時期的には2030年頃にならざるを得ず、今の日本にとって選択肢はF-35以外にありません。

では、何故これ程までに軍用機にとってソフトウェアの重要度が高まってしまったのでしょうか。

本来、航空機は空力的な安定性を求めて設計されてきました。長きに渡り、航空機は安定性こそ命だったわけです。それは軍用機においても同じ事で、空力的な安定を確保しつつ、機敏な機動性を求める中で、重視されたのはあくまで安定性です。

アメリカの戦闘機において、その完成型と言えるのがF-15イーグルでしょう。米ソ冷戦期に開発されたF-15は、数々の戦争を経た今でも、実戦で撃墜された機体は存在しません。兵器は実戦の成果で評価されるものであり、新鋭ステルス機F-22は実戦を経験していませんから、未だもってある意味、米軍最強の戦闘機はF-15だと言えます。

そしてイスラエル空軍のF-15は、訓練飛行のアクシデントで片翼を根本から失いながらも、何事も無かったかのように基地へと帰投しました。

これはF-15の類い希なる安定性・基本空力性能の高さを物語っています。そして日本も約200機のF-15Jを導入して今日に至っていますが、機体が大柄な事も幸いし、電子機器の改修で未だ一線級の性能を保持しています。

F-15が戦闘機における一つの完成型であるとするならば、新たな時代の幕開けを告げたのはF-16でしょう。F-15が高価な機体だった為、ハイ・ロー・ミックスを構成する廉価機として開発されたF-16ファイティング・ファルコン。

乱暴に言えば、この機体は故意に空力的に不安定になるように設計されました。通常飛行時の不安定さを補う為、絶えずコンピューター制御によって安定性を保ち、いざ急機動となれば優れた運動性能を発揮します。つまり、空力的不安定=高運動性能、の図式になるわけです。

これを実現したのが、フライ・バイ・ワイヤ、と呼ばれる技術です。つまり、パイロットが機体を操る為に操作する操縦桿は意思を伝える為の、ゲーム同様のジョイスティックに過ぎず、コンピューターが裏で勝手に常時適切な制御をしているシステムです。

このフライ・バイ・ワイヤによる運動能力向上機(CCV:Control Configured Vehicle)は、機体の進行方向とずれた方向へと移動し、それまでの機体では考えられない機動をします。

F-16はアメリカ同盟国におけるベストセラー機となり、未だに各種改良が続けられています。

では、F-15とF-16がドッグファイト(近接戦)になったと仮定して、どちらが優位なのか。これは一概には言えないと思いますが、上下方向への機動では強力な双発エンジンのF-15優位、左右方向への急機動では小型機でCCV機動の出来るF-16が優位になるでしょうか。

飛行中の航空機は絶えず二つのエネルギーを持ちます。一つは高度に比例する位置エネルギー、もう一つは速度の2乗に比例する運動エネルギーです。一気に高度を上げたF-15は、急降下により位置エネルギーを運動エネルギーに変換し、F-16に勝る速度で襲いかかる事が出来ます。つまり、この対決はF-15がやや優位と考えられます。

軍事技術の民間転用という意味では、皆さんは既にフライ・バイ・ワイヤから来たドライブ・バイ・ワイヤ技術を取り入れた車に乗っています。

一昔前の車はアクセルペダルとエンジンルームのスロットルバルブがアクセルワイヤーで繋がっていました。つまり、アクセルを踏む行為=機械的にスロットルバルブを開く動作だったわけです。しかし、ドライブ・バイ・ワイヤ技術が導入された今日の車では、両者を機械的に繋ぐアクセルワイヤーはありません。

アクセルペダルの踏み込み具合をセンサーで感知し、それを電気信号で伝え、コンピューターによってスロットルバルブが操作されます。つまり、人間と車との間にはコンピューターの演算・判断が介在しており、例えばアクセルを少し踏むだけでスロットルが大きく開いてパワフル感を演出したり、逆にスロットルバルブの反応を抑制して燃費を向上させたりします。

また、同様の技術をハンドルに応用したステア・バイ・ワイヤも実用化されつつありあます。自動車の発明以来、たとえパワーステアリング等の新技術はあっても、ハンドルと操舵機構は必ず機械的に繋がっていました。しかし、それも過去の話になりつつあります。

何だか運転するのが怖い気もしますが、皆さんはいかがでしょうか。

さて、話を軍用機に戻します。

フライ・バイ・ワイヤ技術が実用化され、「重い操縦桿をグッと引く」というありがちな描写は過去の物になりました。F-16以降の操縦桿は、家庭にあるゲームのジョイスティックと同じく、数ミリのストロークしか持たない、意思を伝える為のスイッチに過ぎません。(勿論、きついGは体にかかりますが) あえて空力的に不安定に設計された機体を安定的に飛ばす為に常時コンピューターが姿勢を補正し、機動時には不安定さを生かして俊敏に動く。つまり、コンピューター制御があってこその戦闘機だと言えます。

航空自衛隊のF-2戦闘攻撃機は諸々の事情でアメリカのF-16をベースに作られた、事実上の対艦攻撃機です。この設計に当たってはF-16の諸処のデータが大いに参考になったとされていますが、単なるコピーではなく垂直尾翼以外は全て設計し直すという徹底ぶりでした。

そしてアメリカ側はCCV機動が軍事機密に当たるとして、フライ・バイ・ワイヤのソフトウェア開示をしませんでした。つまり、日本は自力で遜色ないソフトを書き、F-2に組み込んで完成させたわけです。F-16ベースとは言え、実質的には別物と言ってもいいでしょう。

そしてやがて最先端軍用機はステルス機の時代となりますが、浴びせられたレーダー波を正面に返さない、というステルス設計を突き詰めていくと、それは自ずと空力的な安定性と相反するものになってしまいます。

その最たるものがB-2ステルス戦略爆撃機でしょう。全く尾翼のない全翼機であり、航空力学的に安定して飛ぶはずがありません。また、日本が導入を決めているF-35にしても、随分とずんぐりむっくりの機体であり、空力性能が優れているとは思えません。

これらは既に、コンピューターの常時制御無しにはまともに飛べない機体だと言ってもいいでしょう。

それに加え、F-35は通常離着陸(CTOL)機のF-35A、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機のF-35B、艦載機(CV) 型のF-35C、を同時開発するというかつて無い試みですし、EO-DASを始めとする最新のアビオニクスを装備する為にソフトウェアのウエイトが重くなり、結果としてズルズルと遅れを出すに至っています。

中国がロシアから新鋭戦闘機Su-35を購入するとの話はロシア側が否定したり、どうもはっきりと見えない部分がありますが、F-15を主力とする日本の空のアドバンテージが失われつつあることは事実でしょう。

そして時間的なものだけではなく、調達価格がうなぎ登りになっても買わざるを得ない状況ですから、当然他の装備の更新にしわ寄せが来てしまいます。F-35の性能は価格に見合うものだと思われますし、これを得ずして空の国防はアドバンテージを保てませんが、いわゆる正面装備だけを揃えればいいのではありません。

金食い虫の正面装備ばかりに片より、後方支援装備を疎かにすると勝てるものも勝てません。

海外軍事メディアの報道を総合すると、恐らくウエポンユニットコスト込みで一機当たり220~230億円になるのではないでしょうか。第4世代戦闘機のF-15と比較すると約2倍ですね。これを考えると日本もそうですが、他の国が本当に予定通りの調達が出来るのか、疑問に思います。

いずれにせよ、日本の次期戦闘機導入はすんなりいきそうにありません。

さて、建造が進められていた海上自衛隊史上最大のヘリコプター搭載型護衛艦たる22DDHが、8月6日に正式に「いずも」と命名され、進水式を迎えました。

諸々の事情で「護衛艦」とは呼ばれますが、事実上はヘリ空母です。既に運用中のひゅうが型も同じく空母型の全通甲板を持ちますが、ひゅうが型の全長197m、基準排水量13,950トンから更に大型化し、全長248m、基準排水量19,500トンと、かなりの巨艦です。かつての帝国海軍最大の戦艦大和の全長が263mだったのですから、わずか15mしか違いません。

いずも進水式
http://www.youtube.com/v/MT-9maM-Pks?feature=youtube_gdata

上記動画をご覧いただければわかるとおり、かなりの存在感ですね。

中韓のメディアは「いずも」の進水式をこぞって取り上げ、右傾化する日本が空母を所有しようとしていると騒いでいますが、これは戦闘機を搭載する攻撃型空母ではありません。

最大14機のヘリコプターを搭載し、対潜任務を強化するのが目的です。また、50台のトラックや500名の人員輸送能力と併せ、大規模災害時には救援活動の海上基地になる多目的艦でもあります。

中韓ばかりか、国内でもFNNが日米防衛当局の話としてF-35Bの搭載を検討していると報道しましたが、まずあり得ないしょう。確かに、いずもはF-35Bの運用が可能であろう大きさですし、耐熱甲板仕様になっている可能性もあると思われます。

ですが、増強し続ける中国の潜水艦を封じ込める為の対潜能力強化が目的であり、最重要課題を疎かにしてまで攻撃型空母とする必要性はありません。第一、いずもにF-35Bを搭載したとしても精々10機前後が限界であり、戦闘攻撃機の運用が目的ならば、別途予算を確保して更に大きな空母を建造すべきです。

短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機F-35Bの発艦及び着艦
http://www.youtube.com/v/Ki86x1WKPmE&feature=youtube_gdata

とは言え確かに、この動画を観ているとF-35Bが欲しくなりますね(笑)。

発着艦時にはコクピット後方のハッチが開いて下方へ空気を吹き付けるファンが回り、エンジンの可変ノズルが斜め下や下方に向いているのが確認出来ると思います。

米海軍の強襲揚陸艦ワスプは全長約257mですから、「いずも」も十分発着艦が可能な大きさではあります。
米軍と連携して作戦行動を行う際、米海兵隊のF-35Bが着艦して補給を受けられる、という程度に考えておいた方がいいでしょう。

話題は変わり、以前にも拙稿で取り上げた新型国産哨戒機P-1の不具合についてです。

これまで対潜哨戒の主力としてきたP-3Cの老朽化に伴い、後継機として比較的順調に開発が進み納入が開始されたP-1哨戒機ですが、エンジンがストールする問題が発覚し、追加納入が延期されました。

P-1は4発ターボファンエンジンですから、たとえ1基が停止しても問題無く帰投できるはずですが、今回の不具合は4基のエンジンが全てストールしました。

防衛省の発表によれば、「通常の運用では想定されない、高高度における高速度での急激な機動を行ったところ、エンジンが停止するという事象が発生」とのこと。この不具合は開発機では発生していませんから、量産にあたってエンジンの空気導入部の形状を変更したことが原因なのでしょう。

マスコミは随分と大げさに騒ぎましたが、この手のエンジン停止はありがちな問題です。

例えば映画トップガンでも描かれているように、F-14トムキャットはエンジンストールに悩まされた機体でした。きりもみ状態で再点火を試み、無事機体を立て直すシーンは印象的であり、記憶に残っています。

P-1は国産機であること、中国の潜水艦を封じ込める為の新鋭対潜哨戒機であること、空対艦ミサイルや空対地ミサイルを搭載できること等、非常に重要な戦力です。納入初期段階で問題が発覚した事は不幸中の幸いであり、この機会にきっちりと改修して頂きたいものです。

東シナ海や南シナ海において、日米中の潜水艦が集結しているであろう事は以前にも書きました。

しかし、中国の潜水艦が発見された報道はありますが、日米の潜水艦が発見された報道は聞いたことがありません。何故なら、中国人民解放軍海軍の対潜哨戒能力が大いに劣っているからです。

中国メディアは日本のP-1哨戒機を脅威だとする一方、自国にも国産哨戒機が配備されている事を誇らしげに報道しています。この「高新6号」は以前からネット上で呼ばれている「Y-8Q」の事でしょう。

日本の現状の主力哨戒機P-3Cと比較して、航続距離が5000kmと劣ることを認めつつ、P-3Cの約倍にあたる100個のソノブイを搭載できるとしています。ただし、P-3Cの航続距離が約8000kmなのに対し、果たして100個ものソノブイを投下する任務状況があるのかどうかは甚だ疑問です。

下記は、その中国国産哨戒機たるY-8Qの画像です。

http://image01.wiki.livedoor.jp/n/2/namacha2/1ce348159963cbb0.jpg

これを見ると、4発ターボプロップ機であること、機首下部には洋上捜索用レーダーを搭載する大型レドームがあること、垂直尾翼基部には長いブームが設置されており、潜水艦の位置測定に用いられるMAD(Magnetic Anomaly Detector:磁気探知機)が内蔵されている事がわかります。

要は立派な洋上・対潜哨戒機なのですが、どうしても根本的に違和感があります。

現代を生きる我々にとって、最も身近な航空機は民間旅客機でしょう。仕事でも遠方への出張に利用しますし、休暇時の海外旅行でもお世話になります。

では、我々が搭乗する客室を思い浮かべると、それはどんな形状をしているでしょうか。まず、床面はフラットです。側壁には窓があり、上へ行くほど円弧を描くように曲がっています。身長の高い人が窓際の席に座れば、圧迫感を感じる事もあるでしょう。

乱暴に言ってしまえば、いわゆる「かまぼこ」のような断面形状なわけです。それに対し、旅客機の機体は円柱状です。つまり、我々が搭乗する客室の床は、かなりの上げ底だとわかります。

高度な工業製品は、スペースを無駄なく使う事に特化しています。例えば乗用車の場合、エンジンルームには整備性を確保しながらビッシリと機器が詰め込まれ、室内でもわずかな隙間を利用して小物入れがあったり、後部のラゲッジスペースでも車載工具類が巧みに搭載されていたりします。デッドスペースの有効利用です。

これは航空機でも同じであり、無駄なスペースを徹底排除すべく最適化された設計になります。我々が慣れ親しんでいる旅客機は、客室スペースの床は上げ底です。その理由は、胴体の下部に主翼が付いた、いわゆる「低翼機」だからです。

客室の床下には貨物の収納スペース等が設けられ、空間が無駄なく活用されています。

そして対潜哨戒機の場合、ソノブイや各種兵装を床下に収納する必要がありますから、旅客機と同様に、床が上げ底になる低翼機が適している事になります。アメリカの同盟国で広く運用されているP-3Cも、日本国産の新鋭機P-1も低翼機ですし、アメリカの新鋭哨戒機たるP-8も旅客機のB737の流用機であり、自ずと低翼機です。

それに対し、中国のY-8Qは主翼が胴体の上に付いた「高翼機」です。この基本レイアウトの違いが、違和感の元だったわけです。高翼機は天井が低くなると同時、床面が下がりますから、これは輸送機に適したレイアウトになります。例えば未だに騒がれるMV-22オスプレイも例外ではなく高翼機です。

しかし対潜哨戒機の場合はソノブイや兵装収納の為に床面も上げざるを得ないですから、室内は随分と上下に窮屈な空間になってしまいます。

また、高翼機は一般的に空気抵抗が大きく、これがY-8Qの航続距離が短い理由の一つでしょう。そして戦闘機とは違い、この手のモノコックボディの航空機は主翼内部に燃料タンクを配置します。哨戒機は水上艦船や潜水艦を監視するのが任務ですから、その多くの時間は洋上を飛行する事になります。

万一トラブルが発生した際には洋上に不時着するしかありませんが、十分に燃料を消費していれば主翼がフロートの役目を果たし、この点でも低翼機が有利です。逆に、高翼機では短時間に機体が沈んでしまう確率が高くなります。

上記の事から、中国の国産対潜哨戒機Y-8Qは根本的に基本レイアウトが間違っている事になります。なにがしかの事情があり、既存の輸送機をベースにして場当たり的に開発された機体なのでしょう。

しかしながら、これまでは対潜哨戒能力が著しく低かった中国が、それなりの機体を作って投入している事になります。日米とも、油断は禁物です。

彼らは、まがりなりにも潜水艦の攻撃から守らなくてはならない空母を保有しました。虎の子の空母遼寧を日米潜水艦の魚雷攻撃で沈められてはたまったものではないでしょう。

その空母遼寧ですが、105mの短距離滑走発艦に初成功した、との報道がされています。

http://www.youtube.com/v/_JDls2vNLzM&feature=youtube_gdata

上記を観ると以前公開された動画とは違い、ワンカットで継ぎ目がなく、ごまかしではなく確かに発艦していることが確認出来ると思います。無断劣化コピーとは言え、さすがにロシアのSu-33は優秀だと言えるでしょう。

ただし、今回もミサイル等の兵装はなしで、果たしてどれ位の燃料を積んでいるのかも定かでなく、ギリギリ一杯に軽量化した状態の可能性はあります。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/99/Ussr_cv.png

動画は明らかに、上記画像の2の位置から発艦しています。

となると、更なる燃料や兵装を積んで発艦しようとすると、3の位置からに限られます。これはアングルドデッキの着艦スペースと重なる為、苦しい運用になりそうです。

米海軍のカタパルト発艦を見慣れていると、スキージャンプ式はどうしても頼りなさげに見えてしまいます。

いずれにせよ、中国は攻撃型空母の運用に向け、着実に訓練と実績を積み重ねています。

上記のように内海で空母の訓練を実施しながら、中国は沖縄尖閣諸島への領海侵犯を繰り返し、その圧力と同時に尖閣領有権問題の「棚上げ」を提示し、それが日中首脳会談開催の前提条件だと示唆しています。

我々はこれに騙されてはいけません。中国側の言う「棚上げ」とは、その前提として尖閣が中国領土であることです。棚上げを認める事=尖閣が中国領土であると認める事になります。断固として、不法行為に対し徹底抗戦を続けるのみです。

そして、中国がちょっかいを出しているのは日本のみならず、インドのカシミール地方もその舞台です。4月中旬にカシミール地方の国境線を超えた人民解放軍とインド軍の対峙が続き、インドマスコミは大きく取り上げていました。

これは5月上旬に両軍司令官の話し合いにより、一旦解消して撤退が行われました。その間、約3週間。尖閣に対する強硬な態度とは随分違う印象を受けます。勿論、これはインドが核を持っているからでしょう。

核を持つ国と対等に話をするには、こちら側も核を所有して同等の立場に立たなければなりません。

我々は今一度、この報復力としての核保有の重要性を認識しなければなりません。

ところが核保有国たるインドに対しても、中国の挑発的無法行為は収まりません。

6月中旬には人民解放軍がまたしてもカシミール地方に侵入し、監視用のシェルターやカメラを破壊し、更には7月に入ってからも3回、インド側支配地域への侵入を繰り返しています。

ここで甘く見られて舐められてはダメだと判断したのでしょう。インド政府は1兆900億円(6500億ルピー)を投じて印中国境沿いに5万人規模の部隊新設を決めました。3個師団として1兆円規模となると最低でも戦車3個連隊、300~400両の戦車調達が含まれるのでしょう。実に適切な判断であり、1兆円を投入出来るとは羨ましい限りです。

インドは核を持ち、老朽化したイギリス製中古空母の更新にロシア製中古空母を調達しながら国産空母を建造し、国産原子力潜水艦も臨界に成功し、着々と中国に対抗する力をつけてきています。

そのインドが日本からの調達を交渉中なのが、海上自衛隊が採用する新鋭飛行艇US-2です。

かねてからインド側はUS-2に興味を示していましたが、2012年6月に日印海軍の共同演習が相模湾で実施された際、海自の投入したUS-2の性能を間近で見て確認しています。波高3mでも離着水でき、最低飛行速度90km/hの短距離離水は驚異的な性能です。

また、タイやインドネシア、ブルネイ等もUS-2に関心を示していますが、1機約100億円という価格を考えれば、なかなか実際には手を出しにくいでしょう。この海自ですら5機しか配備出来ていない高価な飛行艇を、インドは15機前後の購入を検討中です。

日本にとっても、インド洋での海上監視能力が高まり、重要な洋上輸送路の安全確保が期待できるのはメリットとなるでしょう。

そして6月には、US-2の高性能ぶりを証明する出来事がありました。まだ記憶に新しい、辛坊治郎のヨット遭難事故です。

東日本大震災に起因する浮遊物の多い太平洋を、よりによって海の荒れることの多い時期に、全盲のセーラーと組んで横断するリスクは高く、浮遊物等を見張るワッチは24時間辛坊が担当しなくてはなりません。衝突したのは鯨だとされていますが、彼はその時寝ていたわけで、お話にもならない迷惑な冒険です。

それはさておき、遭難地点は宮城県沖1200kmで、通常海難救助に使われるヘリでは全く航続距離が足りません。

仮に日本がMV-22オスプレイを保有していたとしても、空中給油なしでは飛ぶことの出来ない遠方です。哨戒用の固定翼機を飛ばせば位置確認は出来ますが、ヘリのようにホバリングが出来ないので救助は不可能です。

となると海上保安庁は足の遅い巡視船で現地へ向かうしか手段がなく、人命救助の為に緊急を要するとなれば、航続距離4500kmを誇る海上自衛隊の救難飛行艇しかありません。

現場海域は風速15m、波高4mとかなりの荒れ模様であり、たとえUS-2でも簡単な任務ではなく、哨戒機とペアで出発したUS-2の第一陣は上空旋回で燃料を消費して帰投、第二陣のUS-2が強行着水して救助に成功しました。

カタログスペックでは最大波高3mとなっていますが、パイロットの技量次第では5mまで対応可能とも言われており、今回もスペックを超えて無理をした使い方だったと思われます。

その証拠として、厚木基地に帰投した際の報道動画では右翼内側のエンジンが動作していませんでした。恐らくは着水時に荒波を被って損傷したものの、残りの3発のエンジンのみで問題無く離水・帰投可能だったのでしょう。

飛行艇のエンジンは離着水の度にどうしても海水の飛沫を吸い込みますから、機内にエンジン洗浄用の真水タンクを備えており、4発中2発を止めて洗浄する訓練を実施しているはずです。

やはり4発エンジンはいざという時に頼りになります。

海自が保有する飛行艇は小笠原等の離島で急患が出た場合の緊急搬送にも活躍していますが、本来はトラブル等で着水した哨戒機の乗組員を救助する為のものです。

また、沖縄のF-15CやF-16が洋上に墜落した事故でもパイロット救助の実績があり、今回のヨット遭難救助は米軍ですらすぐには救出手段の確保が難しいレベルです。優秀な飛行艇を作る技術を持った新明和工業を、そして優れたパイロットや乗組員を持つ自衛隊を、我々はもっと誇りにしていいと思います。

そして日本が世界に誇れる技術と言えば、やはりH-2ロケットは外せません。

去る8月4日には、H-2Bロケット4号機が見事な打ち上げに成功し、国際宇宙ステーションに物資を届ける無人輸送機「HTV(こうのとり)」も無事ドッキングに成功しました。

開発当初は打ち上げ失敗もありましたが、今回でH-2AとH-2Bを合わせて20回連続での打ち上げ成功、成功確率は96.2%となり、欧米に対抗できるまでに高まっています。日本が独自の軍事偵察衛星を打ち上げられるのも、国産のロケットを独自運用しているからに他なりません。

ただし、円高もあって打ち上げコストはどうしても高くなり、商業的な国際競争力は劣るのが現状です。これに対処すべく、打ち上げコストの半減を目指した新型液体燃料ロケットH-3の開発が来年より始まり、2020年の1号機打ち上げを目指します。

ロケットの心臓部と言えばやはりエンジンですが、H-2ロケットのLE-7Aは2段燃焼サイクルと呼ばれる方式の為、高温高圧に耐える強度と複雑な構造を持ち、チタン合金の溶接は職人技が要求される芸術的なものです。量産効果も出にくく、良くも悪くも日本ならではの一品かと思います。

これに対し、H-3のLE-Xは2段燃焼サイクルを廃し、構造を大幅に簡略化すると共に1段目と2段目を共通化して量産効果を狙う構想です。

また、将来の有人飛行も視野に入れた安全性と加速プロファイルの実現も目指しています。順調に開発が進み、空高く上がる日を楽しみにしたいと思います。

そして、今我々が注目すべきは、8月27日に打ち上げが迫ったイプシロンロケットでしょう。


(※2013/9/14 新型ロケット「イプシロン」打ち上げ成功の動画)
http://www.youtube.com/watch?v=Z37uGPQEQRs


日本は独自開発の三段式全段固体燃料ロケットM-V(ミュー・ファイブ)を実用化していましたが、打ち上げコストが高く、7号機で運用が終了していました。イプシロンはその後継であり、比較的小型の衛星をM-Vの約1/3のコストで打ち上げる事を目指して開発されました。

1段目はH-2A/B用固体ロケットブースター(SRB-A3)を流用し、2段目はM-V用2段目(M-34c)を流用、3段目はM-V用キックモータ(KM-V2b)を流用、という構成です。

大きなペイロード、すなわち搭載能力や複数個の衛星を軌道へ投入するには再点火の可能な液体燃料式のH-2やH-3が最適でしょう。

そんな中、何故三段式固体燃料のイプシロンが注目に値するかと言えば、それは大陸間弾道弾(ICBM)への転用が可能だからです。例えば北朝鮮のテポドン2のように液体燃料式のミサイルならば、まずは発射台に設置し、燃料を注入する必要があります。

燃料を予め注入しておいてロケットを起こすと、燃料の重みにタンクボディが耐えきれずに折れてしまいます。また、燃料に含まれる酸化剤によるタンク腐食の問題もあり、長期保存に問題があります。

その点、固体燃料ロケットは乱暴に言えばロケット花火のような構造ですから、いつでも短時間で発射態勢に移行することが出来ます。日本のロケット研究・開発は固体燃料で始まっていますし、その独自ノウハウは定評があります。このアドバンテージは、世界的に見ても優秀な各種軍事用ミサイルの開発にも現れています。

北朝鮮がミサイルを転用したロケットで自称人工衛星の打ち上げに成功しても、世界はまだアメリカ本土を狙える弾道弾の開発が完了したとは見ていません。何故なら、一旦大気圏を離脱した弾頭は再び大気圏へ突入しなければならず、その際の空気断熱圧縮と空気摩擦による高温から核弾頭を守る技術を確立しているとは考えにくいからです。

では日本はどうなのかというと、これはM-Vで打ち上げた探査機「はやぶさ」を思い出して下さい。度重なる故障や障害に見舞われながらも、はやぶさは小惑星いとかわに着陸してサンプルを採り、惑星間航行速度で地球へと戻って来ました。その際の大気圏突入速度はマッハ30超と凄まじく、1万度の高熱に耐えたカプセル内部温度は50度、無事目標地点から400mの位置に着地しました。

この事実をもって日本に弾道弾の再突入技術があると断言はしませんが、それを実現する為の周辺技術があるのは間違いないでしょう。

また、M-Vに比べて小型化及びコストダウンしたイプシロンロケットにしても、まだICBMとして使うにはオーバースペックであり、贅沢すぎます。転用しようとすれば可能ですが、性能やコストに無駄が出てしまいます。更に小型化し、垂直発射管を備えた潜水艦に積んでSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル:Submarine-Launched Ballistic Missile)として運用出来れば大きな抑止力になります。

中国やロシア、北朝鮮といった周辺国が核を保有してミサイルの照準を合わせているのですから、対等な立場で話し合いがしたければ、日本も抑止力として核を持たざるを得ません。日本に多くの原発があるのも、理由の一つはプルトニウム保有の為と考えられます。

IAEAやNPTといった国際的な縛りがありますから即座に核保有は難しいでしょうが、いつでも核を持てる可能性と核技術力、弾頭を敵地に投射できるミサイル技術を保有する事は重要です。

その為の大きな要素であるイプシロンロケットの打ち上げ成功を願います。

日本が世界に誇る技術と言えば、身近なところでは、やはり高速鉄道の新幹線も外せません。

日本の高速鉄道技術は既に台湾と中国へ輸出されていますが、中国には丸々コピーされた挙げ句、好き勝手に国際特許まで出願されてしまう馬鹿さ加減です。JR東日本と川崎重工は実に愚かであり、国を売るに等しい行為なのは元より明らかでした。

しかし、鉄道網の優秀さは車両の性能だけで決まるのではなく、その運用も含めて評価すべきです。中国では2011年に衝突脱線事故を起こして死者40名を出しながら、ろくな原因調査もせずに重機で掘った穴に事故車両を埋めてしまうという凄まじい対応です。

それに対し日本の新幹線は開業以来50年にわたり、乗客の死者はゼロを誇っています。

在来線では大きな事故も起こしていますが、新幹線に関しては安全性に絶対の配慮をしている事がわかります。よって他国が高速鉄道の輸入・導入を考える際、日本の運行実績は大きな売りとなります。

インドに対しては日本と中国が高速鉄道の売り込みをしていましたが、インドは日本を選びました。これは上記の安全運行面での実績を見れば明らかに日本が有利ですが、実際の理由はそれだけでは無いでしょう。

それはつまり、鉄道が本来軍事的な側面を持つからです。いざ有事となれば兵士や武器弾薬を満載し、紛争戦闘地域に輸送せねばなりません。鉄道のイニシャルコストは高いですが、輸送能力は極めて高く、平時も有事も重要な基幹インフラとなります。

ご存じのとおりインドと中国には国境紛争があり、今も度々衝突が起きています。そんな中国から高速鉄道を導入すれば、いざという時に使えなくされてしまったり、必要なメンテナンスを受けられなくなり、軍事行動に大きな影響が出る恐れがあります。

しかし、少なくとも近未来において戦争状態になる可能性が低い日本からの導入であれば、この問題はクリアできます。

それに加え、インドでは既にデリーの地下鉄に日本製の車両と運行システムが採用されており、インド人の手によって一定以上の水準を維持して運行されています。この実績も判断材料の一つとなったのは間違いないでしょう。 ≪続く≫


軍事情勢レポート7 新たなる東亜の繁栄 Part3
http://ochimusya.at.webry.info/201309/article_9.html


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Link:

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 4
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_7.html

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 3
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_6.html

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 2
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軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 1
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_4.html

真の敵との戦い
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_3.html

軍事情勢レポート5 第四部 中共海軍の軍事力
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_2.html

軍事情勢レポート5 第三部 中共の侵略の歴史
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_1.html

軍事情勢レポート5 第二部 韓国の軍事力
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_9.html

軍事情勢レポート5 第一部 中共の野望
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_8.html

対中包囲網構築への道
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_1.html

軍事情勢レポート4 空軍力~防衛産業~朝鮮半島
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_2.html

軍事情勢レポート3 核の拡散と日本の決断
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軍事情勢レポート2 開戦前夜は近し
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軍事情勢レポート1 牙を剥く中国と暴走する北朝鮮
http://ochimusya.at.webry.info/201302/article_1.html

世界平和に貢献する日本の核武装
http://ochimusya.at.webry.info/201206/article_13.html

国防アレルギーは滅亡への道 Part1
http://ochimusya.at.webry.info/201107/article_11.html

国防アレルギーは滅亡への道 Part2
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