軍事情勢レポート8 パックス・アメリカーナの終焉 1

軍事研究家の 黒井執斗氏による小論文の第8段、『 パックス・アメリカーナの終焉 ~世界覇権の行方~ 』が、保守系ブログ「戦後レジーム脱却サポーターズ」に、掲載された。

マスコミが報道しない貴重な内容なので、当ブログでも、4部に分けて、紹介させていただきます。 【拡散願う】



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『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート8 』

『 パックス・アメリカーナの終焉 ~世界覇権の行方~ 』
です。

今回のレポートで黒井氏はパックス・アメリカーナ(アメリカによる世界秩序維持)が大きく揺らぎ始め「終わりの始まり」を迎えているという非常に重要な指摘をされています。

果たしてアメリカの覇権を受け継ぐ国はどこなのか…?

ぜひ最後までご熟読下さい!



ソース: 戦後レジーム脱却サポーターズ
[『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート8 』]
http://sensapo.blog.fc2.com/blog-entry-43.html



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パックス・アメリカーナの終焉 ~世界覇権の行方~ (軍事研究家 / 黒井執斗)


今回の拙稿はまず、嬉しい話題から始めましょう。

9月14日(土)の14:00、警戒区域に韓国のタンカー船が侵入した為に予定より15分延期されましたが、新型国産ロケットイプシロンの打ち上げが成功しました。

また、ペイロードである惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の軌道投入にも成功し、1号機から見事な成果を残しました。

マスコミのTV報道でも打ち上げ時の様子が繰り返し映されていましたから、ご覧になった方も多いでしょう。

その打ち上げの様子を観て、何かお気づきにならなかったでしょうか?

恐らく、観察眼の鋭い方は気づかれたのではないかと思いますが、見慣れた感のある日本のH-2AやH-2B、そして海外の一般的なロケットは最初に発射台からゆっくりと上昇していくのに対し、イプシロンの挙動は明らかに出だしから速い動きで上空へと飛び去ったはずです。

これはイプシロンが固体燃料ロケットである証です。推力制御の出来る液体燃料式とは異なり、固体燃料ロケットは点火後ひたすらに全開での噴射となります。極めて乱暴に言ってしまえば、大きなロケット花火のようなものです。

初速から速い飛翔の様は、ロケットと言うよりもミサイルを連想させるものだったと思います。

前回も話題にしましたが、イプシロンロケットは高コストの為に7号機で運用終了となった国産3段固体燃料ロケットM-V(ミュー・ファイブ)の後継として、大幅なコストダウンと打ち上げ管制の省力化を目指して開発されました。

ロケットそのものとしての構成はH-2A/Bの固体ロケットブースターやM-Vのキックモーターを流用した設計であり、ある意味実績のある物を組み合わせた信頼性の高いものだと言えます。

それに対し、打ち上げ管制はたった2台のパソコンと数名の管制官で行うという革新的かつ野心的な構成となっています。かつての米アポロ計画以来の、伝統的な100人超規模の地上管制要員が必要だという常識を覆すものです。

しかし革新的であるが故に、何かトラブルがあるとすれば打ち上げ管制の部分だと思っていました。案の定、8月27日の打ち上げではトラブルが発生し、原因究明の為に延期となりました。

そして発射19秒前でカウントダウンが自動停止した原因は、ロケットと地上管制間の通信が0.07秒遅れてずれていた為と判明しました。この原因発表のニュースを見たとき、私は次回打ち上げの成功を確信しました。

0.07秒は7/100秒であり、1秒=1000msec(ミリセック)ですから、技術的に違和感の無いように単位変換表記すれば70msecの遅れが問題だったわけです。

この70msecは一般的に見れば極めて小さな時間であり、多くの方は一瞬のズレでしかないと思われるでしょう。しかし、超高速で稼働する半導体生産設備の開発に携わった身としては、とても長い時間だと感じます。

70msecもあれば、ある行程における半導体製品組み立て動作の半分は完了してしまうほどの時間です。

例えばAという動作をし、その完了を待ってBという動作に移り、更にB動作の完了を検知してCという動作に入るとします。この場合、いかに時間的なロスなく次の動作に移れるかが大きなポイントとなり、遅れが出るほどに次々に累積して設計通りの性能から後れ、結果としてワンサイクルで見ると速度性能に劣る機械になってしまいます。

私たちの一番身近にあるコンピューターのOS(オペレーティングシステム)と言えば、やはり圧倒的なシェアを誇るWindowsでしょう。お洒落にMacを使いこなされている方でも、職場ではWindowsだというケースも多いかと思います。

キーボードを打ったとき、またマウスをクリックしたとき、Windowsは間髪入れず即座に反応しているように感じます。それは人間の感覚や処理能力よりも素早い動きでOSが反応しているからです。

一般的にWindowsの最小動作単位の割り込みタイマーは15.6msecです。そしてタイムスライスと呼ばれるタスクスイッチに要する時間は割り込みタイマーの数倍で動いています。ここでは仮に3倍の46.8msecとしましょう。

わかりやすく例えるならば、仮に20分間隔で運行されている列車があったとします。

乗客がランダムにホームに辿り着いたとき、最悪のタイミングなら20分待たなければなりませんし、運がよければ待たずに列車に飛び乗れます。これを無作為に何度も繰り返したときの平均待ち時間は、確率的に考えれば10分となります。

同様にWindowsのタイムスライスが46.8msecだとすると、タスクの切り替えに要する平均遅延時間は23.4msecとなります。一つの動作を終える度に、次の動作を開始するのに20msec以上の時間をロスしていては、とてもではありませんが超高速領域での処理は不可能です。

つまり、一般のWindowsは高速な機械制御や、ジャイロセンサーの検知した傾きに応じて瞬時にノズルの向きを制御する事が必須のロケット打ち上げ制御には使えないことになります。

ではどうしているのかというと、いわゆる「リアルタイムOS」と呼ばれるOSを使って制御します。色々な種類のOSがありますから一概には言えませんが、特殊なものを使わなくとも、タイムスライスが1msec程度のものが多数存在します。

これらをOSに用いれば、例えば10ステップの逐次シリーズ処理を実施しても累積する平均ロス時間は5msecとなり、実用的に使える制御性能を確保することが出来ます。

JAXAがイプシロンの打ち上げ制御・管制に使っている2台のパソコンでどんなリアルタイムOSで動いているのかはわかりませんが、少なくとも上記のレベルのリアルタイムOSが必要なのは間違いないと思われます。

今回の開発機であるイプシロンロケット1号機の打ち上げ費用は約53億円、これを2号機からは約38億円に抑え、4年後には30億円以下にするのが目標ですが、数を作れば自ずとコストは下がりますから、実現不可能な数字ではないでしょう。

ただし、世界の価格競争は厳しいものがあります。例えばインドの中型ロケットPSLVは約25億円、ロシアの中型ロケット「ドニエプル」に至っては最低で約12億円というバーゲンプライスです。

ただし、ドニエプルの飛び抜けた低価格には理由があります。核軍縮で削減されて余ったICBM(大陸間弾道弾:intercontinental ballistic missile)を打ち上げロケットに転用しているのです。いわば、廃品を再利用・転用する仕組みであるが故に低価格なわけです。

ただしドニエプルは液体燃料であり、使用される酸化剤は猛毒のヒドラジンです。打ち上げ失敗時には環境に大きな影響を与えてしまう問題点があります。

イプシロンは固体燃料ロケットであることが大きな特徴ですが、本来、固形燃料ロケットの成功率は低いものでした。アメリカやソ連(ロシア)が液体燃料式に移行したのも固体燃料の成功率の低さ故であり、その技術(液体式)が今の世界標準になっています。

それに対し、元より日本の固体燃料技術はずば抜けた安定性を誇っており、低コストをも実現した今、世界の注目を集めるのは当然でしょう。

そして案の定、中韓メディアは「日本がICBMに転用可能な固体燃料ロケットを打ち上げた」と騒いでいますね。特に韓国メディアは打ち上げ前から打ち上げ後に至るまで、「安倍政権の右傾化の証」だの「軍国主義化」だのとしつこく粘着して騒ぎ立てています。

ICBMとは一般的に射程5500km以上の弾道ミサイルを示す名称です。そして仮にイプシロンをICBMに転用した場合、その最大射程は14000kmにも及びます。これはアメリカのICBMピースキーパーに匹敵する性能であり、地球の裏側まで攻撃できるスペックです。つまり、隣国である韓国にとっては何の脅威にもならず、日本にとっては無駄以外の何者でもありません。

何が何でも反日命の彼らには論理的な思考は存在せず、まるでオートマタ(機械人形)のように条件反射的に動いているのでしょう。

イプシロンを非難する韓国は、ほぼ日本全土を攻撃範囲に収める射程1500kmの巡航ミサイルや、射程800kmの短距離弾道ミサイルを実戦配備中です。また、潜水艦からのSLCM(潜水艦発射巡航ミサイル:submarine launched cruise missile)も保有・運用しており、平和憲法や専守防衛に縛られて敵地攻撃能力を持たない日本よりも遙かに実戦的な軍備です。

彼らが一体何をしたくて騒いでいるのか、全く理解に苦しみます。

恐らく、自国の持たない衛星打ち上げロケットをH-2A/Bと合わせ2機種も純国産で実現してしまう日本を妬み、お決まりの自尊心とやらが傷つけられたのでしょう。

いずれにせよ打ち上げロケットと弾道ミサイルは極めて近い関係にあり、どちらにでも技術転用できることは確かです。つまり日本がロケット技術を磨いて結果を世界にアピールできれば、それだけで潜在的な軍事抑止力になり得るのです。

仮に防衛目的の敵地攻撃能力を保有する為に弾道ミサイルを配備するとなると、射程は3000kmで十分です。それで中国沿岸都市はカバーできます。更に射程を5000kmに伸ばした場合には、中国のほぼ全土をカバー出来るでしょう。

これは3段式ロケットのイプシロンを2段、ないしは1段に省略して流用設計すればよく、H-2A/Bに比べて約半分の全長24mを更に短くできます。これを10~14mに押さえれば、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル:submarine launched ballistic missile)としての運用が視野に入り、残存性の高い報復攻撃能力として高い抑止力を持つ事が出来るでしょう。

上記の3000~5000km程度の射程を持つIRBM(中距離弾道ミサイル:intermediate-range ballistic missile)はコストや使い勝手がよく、周辺の紛争国への抑止力として極めて有効です。

そしてインドは9月15日、中距離弾道ミサイル「アグニ5」の二度目の発射実験に成功しました。これにより、アグニ5は量産体制に移行すると思われます。

アグニ5の射程は約5000km、1.1トンの核弾頭を含む5~10個のMIRV(多弾頭独立誘導再突入体)を搭載可能とされています。パキスタンは勿論、中国全土を射程に収めるものであり、実戦配備が進めば強力な抑止力となるでしょう。

また、インドはアグニ5の潜水艦発射型(SLBM)も開発中だと伝えられています。

近未来において日本がアグニ5と同等のIRBMを保有すれば、インドとの協力関係次第では中国全土を東西から挟み撃ちにし、強力無比な抑止力を実現する事が出来ます。

日本が憲法を改正し、明確な交戦権を規定し、ごく当たり前の国になる事こそがアジアの安定した平和と繁栄に繋がるのです。

≪つづく≫

軍事情勢レポート8 パックス・アメリカーナの終焉 2
http://ochimusya.at.webry.info/201310/article_14.html


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Link:

軍事情勢レポート7 新たなる東亜の繁栄 Part3
http://ochimusya.at.webry.info/201309/article_9.html

軍事情勢レポート7 新たなる東亜の繁栄 Part2
http://ochimusya.at.webry.info/201309/article_8.html

軍事情勢レポート7 新たなる東亜の繁栄 Part1
http://ochimusya.at.webry.info/201309/article_7.html

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 4
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_7.html

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 3
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_6.html

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 2
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_5.html

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 1
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_4.html

真の敵との戦い
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_3.html

軍事情勢レポート5 第一部 中共の野望
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_8.html

軍事情勢レポート5 第二部 韓国の軍事力
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_9.html

軍事情勢レポート5 第三部 中共の侵略の歴史
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_1.html

軍事情勢レポート5 第四部 中共海軍の軍事力
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_2.html

対中包囲網構築への道
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_1.html

軍事情勢レポート4 空軍力~防衛産業~朝鮮半島
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_2.html

軍事情勢レポート3 核の拡散と日本の決断
http://ochimusya.at.webry.info/201303/article_5.html

軍事情勢レポート2 開戦前夜は近し
http://ochimusya.at.webry.info/201302/article_9.html

軍事情勢レポート1 牙を剥く中国と暴走する北朝鮮
http://ochimusya.at.webry.info/201302/article_1.html

世界平和に貢献する日本の核武装
http://ochimusya.at.webry.info/201206/article_13.html

国防アレルギーは滅亡への道 Part1
http://ochimusya.at.webry.info/201107/article_11.html

国防アレルギーは滅亡への道 Part2
http://ochimusya.at.webry.info/201108/article_1.html

テーマ「日本人が知らない シリーズ」のブログ記事
http://ochimusya.at.webry.info/theme/57295fd580.html



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