軍事情勢レポート8 パックス・アメリカーナの終焉 4

黒井執斗氏による小論文の第8段、『 パックス・アメリカーナの終焉 ~世界覇権の行方~ 』のパート4(終章)です。

今回は、尖閣諸島の現況と中共の軍事力に関する情報が満載です。



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『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート8 』

『 パックス・アメリカーナの終焉 ~世界覇権の行方~ 』です。

今回のレポートで黒井氏はパックス・アメリカーナ(アメリカによる世界秩序維持)が大きく揺らぎ始め「終わりの始まり」を迎えているという非常に重要な指摘をされています。

果たしてアメリカの覇権を受け継ぐ国はどこなのか…?

ぜひ最後までご熟読下さい!



ソース:
[『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート8 』]
http://sensapo.blog.fc2.com/blog-entry-43.html



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パックス・アメリカーナの終焉 ~世界覇権の行方~ (軍事研究家 / 黒井執斗)


さて、オバマの発言は、アメリカが世界覇権を近い将来いずれかの国へと譲り渡さざるを得ない、という現実を受け入れたと判断できます。

それに加え、シリアには単独でも軍事介入を実施すると公言しておきながら、それが出来ずにロシアにいいところを掠われてしまいました。

これはすなわち、化学兵器や核兵器等の大量破壊兵器を限定的に使用しても、衰退を迎えつつあるアメリカが報復しない事があり得る事実を世界に突きつけました。

これはイランや北朝鮮、そして何よりも中国に間違ったメッセージを送ることになってしまうでしょう。具体的に日本にとっては、尖閣への侵略行為が更に強引に、かつ周到に行われるということです。そして、その激化は既に始まっています。

去る9月8日、中国の爆撃機H-6が2機、沖縄と宮古島間の上空を通過しました。
http://image02.wiki.livedoor.jp/n/2/namacha2/6566c1e39762255b.jpg

一目で随分と古くさいデザインですが、H-6は1950年代からソ連のTu-16バジャーをノックダウン生産やライセンス生産した機体で、比較的新しい発展型は空中発射巡航ミサイルや空対艦ミサイルの運用も可能になっており、その能力は侮れません。

当然ながら空自のF-15Jが那覇からスクランブルしていますが、沖縄本島と宮古島の間には民間航空路があり、領空へと侵入しない限りは見守るしかないのが現状です。

しかし逆に見れば、常に民間機が飛び交う空域に勝手に爆撃機が侵入しているわけですから、その狂いっぷりはかなりのものです。

また、複数ソースでの確認は取れていませんが、CNNの速報によれば嘉手納に派遣されている米空軍のF-22ステルス戦闘機4機もスクランブルしたと伝えられています。これが事実なら、随分と派手な出迎えです。

東西冷戦時代にはソ連の爆撃機が領空侵犯をすることも度々で、近年のロシアも時折爆撃機を差し向けて日本の防空体制に探りを入れています。中国は日本列島から沖縄、台湾、フィリピンをつなぐ防衛ラインを「第1列島線」と位置付けていますから、このラインを通過することに意味があります。

また、2020年の東京オリンピック開催が決定した日本が事なかれ主義になると考え、7月に通過した早期警戒機よりも挑発的な爆撃機の通過を既成事実にしたいのだと思われます。

そして翌日の9月9日、中国の無人機が日本の防空識別圏に侵入しました。

この事案は遂に来るべき時が来たかという印象であり、極めて重要です。
http://www.mod.go.jp/js/Press/press2013/press_pdf/p20130909_02.pdf

上記、統合幕僚監部の発表資料では「国籍不明」となっていますが、これは中国機だと簡単に推測できます。飛来は北、西、南からの可能性がありますが、フィリピンが日本に敵意を持っていないことや対中国を視野に入れて日本に援助を求めていることからフィリピンは除外され、北と西が残ります。

また、台湾は長い間アメリカと協調体制にあり、尖閣問題で日本を挑発するメリットもなく、西も除外できます。となると残るは北の中国であり、福建や旅順あたりの航空基地から飛び立ち、徘徊の後に帰投したのでしょう。

なお後日、中国は該当無人機の自国所属を認めています。

統合幕僚監部の発表資料では、(恐らくわざと)解像度の低い画像が掲載されていますし、撮影距離を類推されない為に海面や島が映り込まないようにトリミング加工されていますね。実に周到な発表資料です。

そして対象無人機は中国の「翼竜」無人攻撃機に見えます。
http://images.china.cn/attachement/jpg/site1004/20130710/001ec94a25c513473b0e0e.jpg

上記画像を見ればわかるとおり、翼竜はアメリカの無人機プレデターやリーパーのコピー機です。つまり純粋な偵察機ではなく、対地・対空ミサイル攻撃能力を備えています。

また、荒い画像の見方によってはBZK-005無人偵察機にも見えます。
http://image02.wiki.livedoor.jp/n/2/namacha2/8e36caf6af3b7d72.jpg

これも米プレデターやリーパー系のコピー機でしょうが、かなりの部分にイスラエルから導入した技術が使われていると思われます。

無人機に重要なのは搭載する各種センサー類の性能ですが、その面ではアメリカに劣るでしょう。しかし、航空ショーで中国が喧伝しているのはそのコストの低さで、アメリカ製無人機の1/30だと報道されていました。

中国はステルス戦闘機の開発に力を入れていますが、無人機に対してもコピーを含む様々な試行錯誤を繰り返しており、その保有数は1500機に及ぶとの説もあります。

そして中国が尖閣沖に無人機を差し向けてくる第一の理由は、空自の疲弊が狙いでしょう。乱暴に言ってしまえば、無人機は通信衛星経由でコントロールする大きなラジコンにすぎません。基地にいる操縦者は疲れれば別の要員と交代することも出来ますし、無人偵察機自体の連続飛行時間も40時間程度と長いです。

それに対し、スクランブルする空自のF-15J戦闘機はせいぜい数時間しか滞空できず、次々に後続機と交代しながら領空侵犯に至らないかを監視するしかなく、パイロットは勿論のこと、ヘビーローテーションで満足な整備がままならなくなった機体も疲弊してしまいます。

その結果として空自の監視に隙が出来れば、防空識別圏から一気に領空を侵犯するチャンスが生まれます。第2の目的は領空侵犯を常態化させ、なし崩し的に「中国の領空を哨戒している」と発表して自国の領空であると主張する事でしょう。

これは、尖閣で領海侵犯を繰り返している中国公船の「中国領海をパトロールしている」という主張と同じ事を狙って来ると思われます。

防衛省は「領空侵犯は撃墜も視野に入れて検討する」と言っていますが、憲法で交戦権を持たないと定義している今の日本では、事実上手を出せません。これは一刻も早く法改正を実現しなければ、どうすること出来ずに既成事実を作られてしまいます。

中国機が防空識別圏に達すればスクランブルせねばなりませんが、領空侵犯されない限り手は出せず、そして領空侵犯されても最大で警告射撃しかできず、国際共通周波数を用いた無線警告も相手が無人機では全く意味がありません。

2011年暮れにはイランがアメリカのステルス無人偵察機RQ-170を拿捕していますが、これは偽のGPS信号によって強制着陸させたとされています。

日本も同様に電子戦によって中国無人機を無力化することを模索するべきでしょう。

無人機の問題は、搭載カメラや各種センサーの情報を通信衛星経由で基地へと送り、また逆にコントロールの為の指令を基地から無人機へと送らねばならないことです。日本が前倒し導入を決めたアメリカの無人偵察機グローバルホークの場合、消費する帯域は約500Mbyte/secだとされています。これは日本の一般的な家庭用光ファイバーインターネット回線の40本分に相当します。

今後中国が複数の無人機を差し向けてくるとすれば、それに耐えうるだけの帯域を持った軍事通信衛星を保有・運用している証左となります。

また、中国はアメリカのGPSに依存しない独自の衛星測位システム「北斗」の運用を開始しており、現在16機の衛星打ち上げをもってアジア太平洋地域で使用可能であり、最終的には2020年に計30機の打ち上げを完了して地球規模でのシステム運用を目指しています。

つまり、イランが行ったように偽のGPS信号を無人機に送って拿捕しようとすれば、北斗システムの軍用に暗号化された電波信号を解読しなければなりません。

空自は4機のYS-11EB電子戦機を保有・運用しています。
http://www.mamboccv.com/YS11EB_159_080910.jpg

上下に二つずつ、大きなドームが設置されているのがわかると思います。

中国の無人機が繰り返し差し向けられれば、まずは入間基地に所属する電子飛行測定隊のYS-11EBが那覇基地に飛来し、無人機の制御や情報送信に使われている周波数や帯域、暗号化通信内容を測定・収集する事になるでしょう。

これまで尖閣を巡る戦いは主に海の上で繰り広げられてきました。しかし、遂に対無人機を含む空の戦いが本格的に加わる事になります。既にそのスタートは切られたのです。

本稿を締めくくるに当たり、真に憂国の志を同じくする皆さんに再度確認しておきたいと思います。

もうご理解頂けたかと思いますが、我々には韓国などという雑魚にばかり構っている余裕はありません。そんな時代は過ぎ去ったのです。逆に、韓国と揉めているばかりでは日韓離反を狙った中共の策謀に嵌ってしまうことになります。

パックス・アメリカーナの終焉、終わりの始まりへ。

「驕れる者久しからず ただ春の夜の夢の如し」

アメリカが「世界の警察」を下りると宣言したからといって、すぐに同盟国への軍事力の傘が消滅するわけではありませんが、近い将来にアメリカは防衛ラインをハワイ・グアム・オーストラリアのラインへと後退させるでしょう。

また、シリア介入の顛末を見れば明らかなように、尖閣を巡って日中が局地戦に突入したとしても、必ずアメリカが助けてくれる保証はもうありません。シリア介入と同じく判断が議会に委ねられる事態は十分考えられ、米軍の一部として機能するように組織された自衛隊は長期戦には耐えられません。

もう残された時間は少なく、中共と衝突する前にやっておかなくてはならない準備は数多くあります。

憲法9条改正、国軍保持、交戦権保持の明文化、武器輸出三原則破棄、防衛費GDP比2%、敵基地攻撃力保持、F-35ステルス戦闘機の導入、F-15J戦闘機の近代化改修の迅速化、潜水艦戦力の増強、イージス艦8隻体勢への増強、汎用護衛艦の増強、対潜ヘリ空母の増強、超音速空対艦ミサイルの早期開発完了と配備、ミサイル防衛(MD)の拡充、短・中距離弾道ミサイルの開発と配備、兵站の確立、日本版NSC創設(スパイ防止)、ASEAN・台湾・インド等との中共包囲網構築、等々、挙げればきりがありません。

それでも我々は無法者の侵略から国土・国民を守らなければならず、大陸から太平洋へと進出しようとする中共を抑止できれば、近未来の世界をも安定と繁栄へと導くことが出来ます。

もう時代は歴史的な変革へと大きく舵を切っていること、自虐史観や妄想平和主義を捨て去って戦いの場へと臨まなくてはならないことを、一人でも多くの人々に伝え、理解して貰う必要があります。

それが読者の皆さん一人一人を含めた、我々の使命なのです。

我らが日本と世界の未来に勝利の栄光あれ。

(2013年9月23日記)


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黒井執斗様、いつも本当にありがとうございます。

心より感謝申し上げます。

最後までご覧下さった皆様、誠にありがとうございました。

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軍事情勢レポート8 パックス・アメリカーナの終焉 3
http://ochimusya.at.webry.info/201310/article_15.html

軍事情勢レポート8 パックス・アメリカーナの終焉 2
http://ochimusya.at.webry.info/201310/article_14.html

軍事情勢レポート8 パックス・アメリカーナの終焉 1
http://ochimusya.at.webry.info/201310/article_13.html


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Link:

軍事情勢レポート7 新たなる東亜の繁栄 Part3
http://ochimusya.at.webry.info/201309/article_9.html

軍事情勢レポート7 新たなる東亜の繁栄 Part2
http://ochimusya.at.webry.info/201309/article_8.html

軍事情勢レポート7 新たなる東亜の繁栄 Part1
http://ochimusya.at.webry.info/201309/article_7.html

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 4
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_7.html

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 3
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_6.html

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 2
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_5.html

軍事情勢レポート6 皇国の興廃この一戦にあり 1
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_4.html

真の敵との戦い
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_3.html

軍事情勢レポート5 第一部 中共の野望
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_8.html

軍事情勢レポート5 第二部 韓国の軍事力
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_9.html

軍事情勢レポート5 第三部 中共の侵略の歴史
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_1.html

軍事情勢レポート5 第四部 中共海軍の軍事力
http://ochimusya.at.webry.info/201306/article_2.html

対中包囲網構築への道
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_1.html

軍事情勢レポート4 空軍力~防衛産業~朝鮮半島
http://ochimusya.at.webry.info/201305/article_2.html

軍事情勢レポート3 核の拡散と日本の決断
http://ochimusya.at.webry.info/201303/article_5.html

軍事情勢レポート2 開戦前夜は近し
http://ochimusya.at.webry.info/201302/article_9.html

軍事情勢レポート1 牙を剥く中国と暴走する北朝鮮
http://ochimusya.at.webry.info/201302/article_1.html

世界平和に貢献する日本の核武装
http://ochimusya.at.webry.info/201206/article_13.html

国防アレルギーは滅亡への道 Part1
http://ochimusya.at.webry.info/201107/article_11.html

国防アレルギーは滅亡への道 Part2
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